Randy Weston
1926年4月6日New Yorkに生まれた。両親はジャマイカ出身である。幼少のころよりクラシックピアノを学び、ジャズへ転向後はCount Basie、Nat King Cole、Art Tatum、Duke Ellingtonらがヒーロー・ミュージシャンであった。また、Wynton Kellyからも影響を受けた(Wynton Kellyはいとこである)。1940年代より音楽活動を開始し、Bullmoose JacksonやFrank Culley、Eddie "Cleanhead" Vinsonらのバンドで演奏していた。徴兵後である第2次世界大戦中はレストランを経営し、当時のミュージシャンも多数訪れていたという。"Earth Birth"には自ら「1950年にNew YorkからBerkshireに転居し、日中はコックとして、夜はピアニストとして働いていた。当時はボストン交響楽団が年に7週間程度、演奏のために訪れており、Leonard BernsteinやLucas Fossといった著名なクラシック音楽家たちも来ており、その教え子たちも研鑽を積むべく集まってきていたため、Randy Westonにとっては音楽・芸術を学ぶ上で大変環境に恵まれていた」と記している。1953年にKenny Dorham、1954年にCecil Payneと共演し、その後、自らのトリオ・カルテットを結成して1954年に初レコーディング("Cole Porter in Modern Mood")を果たした。1960年に入るとアフリカ意識の強い演奏を行うようになり、"Uhuru Africa"などの録音にそれが表れている。
1954年の録音"Cole Porter in Modern Mood"はデビュー作であると同時に、Riversideレーベルの初の専属ピアニストとしてのRandy Westonの録音としても知られる。当時、Randy WestonはMassachusetts州LenoxのMusic Innで厨房の仕事をしながらピアノを弾いていた無名のピアニストであった。
アフリカに対する意識が強く、1961年と1963年にアフリカ行きを果たした。1967年になるとRandy Westonはアフリカ全土を渡り歩くようになる。1967年には14ものアフリカの国々でツアーを行った。1968年に再度アフリカに渡り、ツアーの最後にたどりついたモロッコで、Randy Westonは定住することを決意した。後はモロッコのTangierに住んみ、1968年にもアフリカをツアーして回った。また、1967年から1972年まではAfrican Rhythm Clubを運営した。
Randy Westonのレコーディングは主にマイナーレーベルからであるが、インパクトの強い作品を多数発表しており、アフリカのミュージシャンをゲストに迎えたり、Dizzy Gillespieなどのメジャーなミュージシャンが参加していたりと各作品の特徴にも事欠くことはない。2005年には日本の上賀茂神社で演奏し、称賛された。その他多くの賞を世界各国で受賞している(1997年:the French Order of Arts and Letters、1999年 日本にてスイングジャーナル誌賞、2000年 the Black Star Award from the Arts Critics and Reviewers Association of Ghana)。

Reference
1. Wikipedia (http://en.wikipedia.org/wiki/Randy_Weston)
2. ランディ・ウェストン アフリカン・リズム・デュオ・コンサート at 上賀茂神社 2008 (http://www.lushlife.jp/randy08/randy08.htm, 削除済)
3. 決定版リヴァーサイド・ブック. ジャズ批評編集部・編 2006; p22-23 


Waltzに強い思い入れがあるようである。「ワルツは実にスイング感のあるリズムを持っており、私自身がワルツに受けた影響を考えると大変面白い。最初に影響を受けたのはFats WallerのJitterbug Waltzだった。Music Innで働いていたMacBethというインディアンのシンガーが私に歌を歌ってくれたのだが、これがswinging 3/4のような曲で、あんなにスウィングする曲を聴いたのは初めてだった。」(Earth Birthのライナーノーツより)

全 体としてDuke Ellingtonの影響が強く感じられるピアニストだが、"Modern Art of Jazz"に聴かれるようにThelonious Monkからの影響も強く受けていると思われる。後年の音楽は特にアフリカ志向が強く、得意とするワルツ曲の3拍子に乗せてアフリカをイメージした独特の 趣向の音楽を展開する。

Compositions
Little Nile: 1951年頃にRandy Westonが自身の息子であるNilesのために書いた楽曲。Cannonball Adderleyはこの曲を"The Jazz Waltz King"と呼んだそうである。悲しい曲だというイメージがあったため、作曲後3年もの間演奏せずにいたそうだが、ドラマーのWillie Jonesに勧められて弾くことにしたという。当時はこの曲がスタンダードナンバーに数えられるとは思いもしなかったらしい。(Earth Birthのライナーノーツ参照)
Pam's Waltz: 娘のPamelaのために1950年に作曲した楽曲であり、最初のワルツ。
Modern Art of Jazz (= How High the Moon)
1. Loose Wig 2. Run Joe 3. A Theme For Teddy 4. In A Litlle Spanish Town 5. Don't Blame Me 6. J & K Blues 7. Well You Needn't 8. How High The Moon
piano: Randy Weston / trumpet: Ray Copeland / as or bs: Cecil Payne / bass: Ahmed Abdul-Malik / drums: Wilbert (G.T.) Hogan, Willie Jones
Recorded in New York City, 1956

 African Cookbook
1. Berkshire Blues 2. Portrait of Vivian 3. Willie's Tune 4. Niger Mambo 5. African Cookbook 6. Congolese Children 7. Blues for Five Reasons 
piano: Randy Westo / tp and flh: Ray Copeland / ts: Booker Ervin / bass: Bill Wood / drums: Lenny McBrowne / cga and vo: Big Black  / per: Harold Murray
recorded in October, 1964
 Cole Porter in Modern Mood
Earth Birth
1, Earth Birth 2, Pam's Waltz 3, Little Nile 4, Babe's Blues 5, Where 6, Hi-Fly 7, Portrait of Billie Holiday 8, Berkshire Blues 9, Portrait of Vivian
recorded in Montreal, Canada, 1995, July 5th
bass: Christian McBride, drums: Billy Higgins, conductor: Paul West