2015年-

 



2017/10/2

Duke Ellingtonの項を少し更新しました。まだまだかかります。

Kenny BarronとBarry Harrisのピアノ2台での共演盤"Confirmation"を買ってみました。2人ともピアニストの最高峰と言うに相当する偉大なピアニストだと思 いますが、このアルバムに関しては2人のすばらしさを味わうというよりは最高峰の二人の違いを楽しむためのアルバムという感じでした。Hanky JonesとTommy Flanaganの"Our Delight"も同じようにピアニストの競演盤として有名ですが、こちらはプレイスタイルが近いことからもどちらがどちらか聞き分けるのが難しく、しか もお互いにサイドメンとしての腕で知られた存在ということもあり、まるで1台のように聞こえるという面白さがあります。一方、本アルバムは互いにやや違っ たスタイルで音楽に臨んでいることからも、あくまで2台のピアノ演奏という感覚です。そして、お互いの演奏に触発されながら、おそらく普段のイマジネー ションとは異なる方向に演奏が進んでいっているのだろう、ということが聞いて取れるところが大変興味深いところです。節々に感じるコードの解釈の違いや、 リズムの作り方の違いが不和を生み出している側面もあるでしょうが、通常は生れ出てくることがないような音楽も同時に沢山生み出されていて、2人の新しい 一面を開拓していっているという嬉しさがあります。普段から様々なプレイヤーとの共演を重ねている2人でしょうが、身近にいない自分が録音という形でこう いった音楽に触れられることには感激です。

Bud Powell "Swingin' with Bud"はよく知られたアルバムですが、これが素晴らしい!Bud Powellの後期に差し掛かった演奏としては安定しているというのもありますが、George DuvivierとArt Taylorの職人芸が光る一枚と思います。Bud Powellは共演する際にドラマーPhilly Joe Jonesに「ブラシで演奏してくれ」と要望を出していたことが知られていますが、ドラマーには過剰な演出望んでいなかった節があります。Bud Powellは実際、現代にかけての叙情的なビバップに移行する前のミュージシャンであり、演出の派手な演奏よりは安定してスリリングな(?)リズムやフ レーズに重点を置いていた側面が感じられます。そういう意味でも、このアルバムは様々なコンディションが合致した良作と言えるのではないでしょうか。

大規模修繕にはまだ時間がかかりそうです。ではまた。

2017/9/3

ウェブサイト全体を大規模修繕中です。

最近聴いたアルバムで断トツで好きだったのは、Chris Anderson "Live at Bradleys"でした。これまでにとにかく大好きになったアルバムはFrank Hewitt "We Love You"、Gil Coggins "Better Later than Never"、Randy Weston "Marrakech" "Zep Tapi"などが ありますが、数年ぶりの衝撃でした。スイングというのは単なるリズムのギャップではなく、その中で様々な形のリズムの豊かさを作り表現の一つとするもので すが、スイング時代のヒーローを持ち、ビバップ時代の荒波に揉まれ、なおかつその後のジャズ激動の時代に振り回されずに生き抜いてきた数少ない古いジャズ の伝承者たちには学ぶべきものが山ほどあります。アメリカという変化を良しとする国ならでは、ジャズは様々な素晴らしいミュージシャンを輩出してきました が、古いものにこだわり熟成させ、成功にこだわらない傑作を生み出すという芸術的意識はどうなのでしょう。もったいない、と思う部分も沢山あります。 Chris Andersonは、そのハーモニーをHerbie Hancockから絶賛され、師事するに至ったという話は有名ですが、その独特のコードワークは注目すべきとしても、晩年の豊かなリズムには心惹かれずに いられません。骨折しやすいという病気もあってか、弱弱しくはかない、しかし深く豊かな音楽です。特にこの"Live at Bradleys"に関しては、ベースのRay DrummondとドラムのBilly Higgins/Frank Gantの強力かつ味のあるサポートもあり、大変面白いアルバムに仕上がっています。1曲目のSeoraにいきなりやられた、という感じでした。

他にも色々ありますが、今回はこの辺で。ではまた。

2017/7/8

Walter Bishop Jr.はCharlie ParkerやMiles Davisらとの共演から良く知られるピアニストで、circles of 4thという理論でも知られていますが、リーダー作で名盤となると"Speak Low"が知られている以外はあまり引っかかってくるものがないように思います。今回紹介したいのは"Old Folks"というトリオ作品で、ベースはSam Jones、ドラムスはBilly Higginsという強力なメンバーです。模範的なリズムとエッセンスを突いたシンプルなピアノスタイルである一方、毒気がなくあまり印象に残らないとい うのがWalter Bishop Jr.の欠点のように感じていましたが、Sam Jonesのストレートな推進力とBilly Higginsの歌心あふれるドラムが浮き上がるようで、全体として聴きごたえのあるものに仕上がっている印象です。時期としてはSoliloquyと同 じころですね。楽曲も重複しています。

最近いろいろ買ってます。紹介していきたいですが・・ではまた。

2017/6/3

久しぶりの更新です。リンクを整理しました。福岡のお店も、出入りがあるようです。

最近はDuke Pearsonのアルバムをまとめて購入していました。トリオやオーケストラなど、Blue Noteのプロデューサーも含めて音楽活動自体は多 彩で、Jeanineなどの名曲もあり、演奏はイマイチ花や毒気のない印象はある者の、評価の高いミュージシャンではないかと思います。しかしやはり、ア ルバムはどれもピアニストとしての魅力を強く感じるものではありませんでした‥。サイドメンとしてはGrant GreenのIdle Momentsが良く知られているのではないでしょうか。アルバム自体の評価も高いと思います。

アルバムの中で言えば"Hush!" "Wahoo!"の2枚は全体としてとても良い作品でした。個人的な趣味ですが、"Hush!"のWalter Perkins、"Wahoo!"のMicky Rokerの両ドラマーが秀逸で、それだけのために聞いても良いかもしれないと思うくらいでした。古いバップスタイルを引き継ぐ世代としては最後になる面 々と思いますが、クールながらリズムの広い感じを残したドラムワークは聞いていて楽しくなってきます。ベースのBob Cranshawはいうに及ばず。一枚一枚についてはまた後日。

最近買ったアルバムはtwitterで写真を掲載していっています。ではまた。

2017/2/19

Duke Ellingtonの項を更新しました。まだまだ道のりが長いので、頑張ります。

最近、購入を考えていたCDを次々購入していっています。特に、Chris Anderson、Randy Westonは迷っていたものが多かったのをまとめて購入しました。特におすすめだったのは、Chris Anderson の"Live at Bradley's"ですが、これは1994年のライブ録音で、ベースにRay DrummondとドラムがFrank Gant、Billy Higginsが参加しています。選曲やアレンジなど、特別なものではないのですが、他の録音に聞かれるようなChris Andersonの深いリズムとコードワークを録音の介入なく聴くことのできるアルバムで、これまでに聴いた中で一二を争うくらい私の趣味に合うアルバム でした。雰囲気としてGil CogginsやFrank Hewittのようなプレイヤーに近いというところもあってのことでしょうが、何よりの魅力である深いリズムの扱い方は必聴です。素朴なメロディーライン を彩る懐の深いリズムワークと、薄暗いコードワークが他のミュージシャンには聞かれない世界を見せてくれます。

Randy Westonの素晴らしさはここで敢えて述べるまでもないとして、実は1950年代のデビューから現代にいたるまで休みなく一貫したテーマのリーダーアル バムを作り続けているというところにRandy Westonというミュージシャンの凄さがあります。そして、その多数のアルバムでオリジナル曲をいろんな形で演奏します。今回購入した"The Roots of the Blues", "Spirits!", "African Sunrise"のいずれも、アフリカ志向の強いアルバムですが、その中でAfrican CookbookのようなRandy Westonファンには馴染み深い曲も取り上げます。今回特におすすめしたいのはBilly Harperとのデュオである"The Roots of the Blues"でしょうか。これまでにはサックスとのデュオという作品は録音していませんでしたが、2013年という最近になり新鮮な作品を残しています。 何よりの魅力である力強いピアノスタイルと深く粘りのあるリズムが強調されたように聴かれ、たまりません。ちなみに、昨年2016年にも新たに"The African Nubian Suite"というアルバムをリリースしています。これからもぜひ期待したいピアニストです。

たまっているアルバムがもう少しあります。頑張って記載していきたい。ではまた。

2017/1/27

Jimmy Yancey、Charles Thompsonの項を追加しました。いずれもスイングもしくはそれ以前のプレイヤーですが、自分が聴いている音楽のルーツに大きく関わっているのが明ら かな存在で、大変興味深いです。Jimmy Yanceyの書かれ方が、全く「天才」という感じでしたが、実際にはどうだったんでしょうか。資料が少ないのが残念です。

先だって述べていますが、Charles Thompsonという有名なピアニストは2 人おり、1人は日本に住み日本で亡くなったことでもよく知られる"Sir" Charles Thompsonですが、もう一人はラグタイムの時代に活躍したCharles Hubbard Thompsonです。こちらはほとんど情報がありませんが、当時達人とされたラグタイムピアニストの一人ということです。今後もう少し掘り下げて調べて みたいと思います。ではまた。

2016/12/8

Duke Ellingtonの項を少し追加しました。先が長いです。それにしても、Duke Ellingtonの生涯をなぞっていて思うのは、決して芸術性だけを目指して音楽を作ってきたわけではなく、商業的な成功を大きく視野に入れての音楽制 作を行ってきたということです。結果としてその芸術性に注目が集まり、現代にいたるまで親しまれていますが、当時大活躍していたのは決してDuke Ellingtonだけではありません。一体どんな人間だったのか。一体どんな生き方をしていたのか。興味深い音楽を山ほど生み出した背景に興味が尽きま せん。ではまた。

2016/11/23

ラ グタイム〜スイング時代の巨匠の演奏に心が洗われるような瞬間があります。Wille "The Lion" SmithやCharles Hubbard Thompsonといったミュージシャンはその一人ですが、もちろん技術的に後世より聞き劣りする部分がないわけではありませんが、要であるストライドの リズムの美しさには、おそらくこれ以後の時期とは比較できないような繊細さを感じる部分が多くあります。ダンスミュージックとしての側面が色濃いこの時代 ならではなのでしょうが、選択肢が多くない中での創意工夫が生み出した一種の芸術であると思います。この美は後にも受け継がれていくように感じますが、そ ちらから少し後になるTeddy Wilsonの持っているものにも通じるものがあるように思います。こちらの方が、ややシングルトーンの比重が大きくなり、自由度も増していると言えるで しょうか。1934年になされた、最初期のTeddy Wilsonの 演奏はとても20代前半の若者が演奏しているとは思えないような安定感と色鮮やかな表現が満ちており、聞いていて飽きない楽しみがあります。こういった部 分は、音としての選択肢がより少なかった時代、音そのものの質を追求することが重視された時代に特有のものかもしれません。様々な音が理論的に許され、選 択肢の中に数えきれないほどのものが加わった現代では逆にこういった側面が薄まったように感じます。結局のところ、どちらを重視するのか、という趣味の域 を超えることはないのでしょうが。Teddy Wilsonの最初期の演奏は固有のアルバムとしてはどうやってリリースされたのかわかりませんが、コ ンプリート盤などの収められています。

上 記のTeddy Wilson "Piano Solos"を聞いていますが、これが信じられないくらい良い!必要最低限に作りこまれたようなシンプルな美に、スイング時代ならではのホーンライクでな いピアノ演奏スタイル。強固なストライドではなく、単音のラインと交互に入り混じりながら掛け合いをするようなバランス、素晴らしい!是非ともレコードで 聞きたいところです。以前から推しておりますが、"Mr. Wilson"も良いです。ではまた。

2016/05/31

パ リに移住した後のBud Powellの演奏は若い日ほどの迫力や圧倒的な瞬発力はなく、どこか萎れた感じがして嫌だったのですが、久しぶりに聴いてみるとこれもなかなか味があっ てよいような気がします。失われたものはあっても、同じBud Powellの音がして、リズムの使い方も当然本人だから同じなわけですが、自分はBud Powellの当時斬新だったアイデアが好きなだけではなく、その音の趣向や人生といったところにも感じ入っているところがあるのだろうな、と思います。 というわけで、最近の通勤中はBud Powellの"Strictly Powell"、"Live in Lausanne, 1962"、"At the Golden Circle, vol.3"が鳴っています。Strictly Powelは1956年の録音で、George DuvivierとArt Taylorによるトリオです。パリに移ってからはLive in Lausanneで聴かれるようにPierre Michelot、Kenny Clarkeのトリオですが、Golden Circle, vol.3ではベースTorbjorn Hultcrantz、ドラムSune Spangbergという知らない人です。ヨーロッパのプレイヤーは当時のいわゆるビバップ奏者とはリズムの作り方が違うので私はあまり好きではないで す。フレーズの使い方もどこかリラックスしていて、攻撃的な昔の面影はないな・・という感じなのですが、叙情的というか、雰囲気としてはBarry Harrisに近いようなところがあって、別の楽しみ方があります。とはいえ昔の威勢のいいピアノが一番好きですね。これは譲れない。

細 々とでも勉強を続けよう、ということで、Duke Ellingtonのwikipediaを日本語訳していっています。が、何分ご高名な方のため、途方もなく長い。いつになったら終わるのかわかりませ ん。そういうわけで、しばらくはDuke Ellingtonの勉強をします。現在の人間からすると、大変な芸術性を持ち合わせた偉人と考えるのですが、その経歴を見てみると、その才能が芸術的な 人生から生まれてきたわけでは決してないと感じるようになります。当時、Ellingtonはあくまでエンターテイナーであって、客を踊らせて喜ばせる商 売です。ボールルームの名物ミュージシャンという感じです。それが、様々な経験と工夫を経て、実に独創的な楽曲とアレンジの才能を開花させるに至ります。 もちろんきっかけは一つではないし、教師となった人間も数えられるほどの少人数ではない。さらに沢山のチャンスをものにしてやっと名誉名声を得るに至り、 ここで初めて芸術として歩み出したような印象です。注目を浴びなければ、その深みを掘り下げられることもない、そういう音楽を取り巻く厳しい側面を感じる ところもあります・・これは今だってそうかもしれませんが。

Duke Ellingtonはあまりに長いので、今できているところまで掲載しました。ではまた。

2016/2/3

Art Farmer期間は終わり、Bennie Greenを聴いています。Bennie Greenと言えば、トロンボーンならではの奏法を駆使した味のある演奏に定評があると思いますが、"Bennie Green"を聴くと、サックスのJimmy Forrestとの掛け合いなんかは特に、その演奏のルーツにスイング色が色濃いように感じられます。このアルバムはピアノにSonny Clarkが入っていることもあって、日本では有名なのではないかと思いますが、ベースのGeorge TuckerやドラムのAl Drearesもいい感じです。また、ほとんど聴いたことありませんでしたが"Glidin' Along"は名盤です。ピアノのJunior Mance、ベースのLarry Gales、ドラムのBen Rileyの組み合わせが絶妙で、Junior Manceのスリリングなバッキングがストレートにリズムを推すバックの二人の上で大変栄えます。これにさらにサックスがJohnny Grifinですから、最高にいい感じです。ピアノはNorman Simmonsと違うながら、Johnny Griffinの"Studio Jazz Party"と雰囲気が近いところがありますね。大好きなアルバムになりました。ではまた。

2015/12/30

通 勤中、ここ最近Art Farmerばかり聴いていますが、久しぶりに聴いた"Perception"が素晴らしかった。特にドラマーが気になったのですが、Roy McCurdyでした。全然聴いたことのないドラマーでしたが、シンプル、どちらかというと地味なスタイルでここまで強くリズムを作れるものだと、思わず 聴き入ってしまうドラマーです。ではまた。

2015/8/21

Phineas Newbornは大変素晴らしいピアニストですが、晩年不遇であったことはよく知られています。これまで気づいていませんでしたが、亡くなる6週間前の映像が 残っています。Lush Lifeをソロで演奏していますが、これはお世辞にも素晴らしい演奏とは言えず、所々で不自然に立ち止まり、キョロキョロと客席を見渡しながら落ち着かな い様子です。しかしながら、輝かしいころの面影が随所随所に見られ、思わず胸に詰まるところがあります。ファンであれば是非とも見ていただきたい映像です。ではまた。

2015/6/12

Andrew HillはBlue Noteレーベルでの作品が多く知られる有名なピアニストではありますが、他のアヴァンギャルド系ピアニストと比較して取り上げられることが少なく、知名 度に比して人気は少ないような印象があります。アヴァンギャルドに傾倒したスタイルの上、オーソドックスなジャズの方法はそれなりに残し、暗い音遣いが多 く、かといってMal Waldronのようにリズムを強調するよりはやや音のフリンジが曖昧な音・リズムの作り方をしており・・つかみどころのない、不思議なスタイルのピアニ ストです。

"Grass Roots"は1968年にBlue Noteに録音されたアルバムですが、トランペットにLee MorganやWoody Shaw、サックスにBooker Ervinが参加しており、バックもRon CarterにIdris Muhammadという豪華な顔ぶれです。そういうところもあってか、全体に耳当たりの良いアルバムに仕上がっています。このアルバムの見どころは何よ り、周囲のかっちりした音楽の中にまるで浮き出てくるように強調されるAndrew Hillのぼやけた音楽です。彼のソロ芸術を楽しむアルバムというよりは、バックでAndrew Hillが選ぶ音、暗く仕上がった和音、後ろに軽く引っ張られるようなリズム、こういったある種の異物感を味わうアルバムのように思います。

Andrew Hillのピアノの面白いところは、こんなにも先進的でありながら死の直前まで一つのスタイルを固持しじっくりと仕上げ、ある形での完成を見ている点で す。移り気の多いチャレンジャーではありません。亡くなる直前のTrinityChurchでのライブ映像は、Andrew Hillの演奏が私たちに与える問いに、答えをくれるような面白いものです。ではまた。

2015/2/20

Walter NorrisはOrnette Colemanの"Something Else!"で有名なピアニストと思いますが、アヴァンギャルドやコンテンポラリーな演奏ではなく、バップを下地としたやや攻撃的な西海岸系ピアノスタイ ルといった感じでしょうか。初リーダーアルバムである"The Trio"は今ではほとんど名の知れない3人の録音ですが、録音に先立ち家族もろとも同居するほどの気合いの入りようで、選曲から演奏まで緊張感の溢れた 良いアルバムと思います。Walter Norrisは晩年になっても大きくスタイルを変えませんが、このピアニストの表現豊かな音色には、はっとさせられます。リズムの軽いジャズではあります が、侮れるものでは決してありません。アルコールでダメになったというギターのBilly Bean、耳が聞こえなくなったHal Gaylor・・いわくつきですが、おススメです。

Walter Norrisの項を追加しています。ではまた。

追 記:自分で読んでイライラする文面になってましたので追記します。Walter Norrisのピアノはリズムの軽い音楽ではありますが、いわゆる黒人のリズムとはまた趣を異にするリズムの作り込み方をしており、一聴の価値がありま す。"The Trio"はバンドとしての作り込みが大変強力で、初リーダー作ということもあるのでしょうが、一流のアルバムに並べても遜色ない緊張感があります。日本 では大よそ無名のピアニストになるのでしょうが、もったいない。

2015/1/9

Jay McShannはカンザス・シティでならした剛腕ピアニストで、Charlie Parkerが世に出るきっかけとなったビッグバンドのリーダーとしても有名だと思います。若き日のCharlie ParkerがJo Jonesにシンバルを投げつけられたという逸話では、ピアノを弾いていたのはJay McShannでした。現代ではその演奏自体にスポットが当たることはほとんどないように感じますが、Al CaseyやClaude Williamsとの共演など、名演をいくつも残しています。後年はブルース畑での活動ばかりだったようですが、スイング時代の強力なリズムは健在。取っ 付きやすく楽しい演奏です。

1989年にはParisで往年のスターたちとの ビッグバンドでコンサートを行い、その映像が残っていますが、Benny Carker、Al Grey、Jimmy Heath、Sahib Shihab、Clark Terry、Carmell Jonesなど、本当にすごい顔ぶれです。その中でも一番年長のJay McShann。バンド全体を牽引する求心力というか、おそらくもうこの人にしか出せないであろう当時の懐かしい雰囲気をバンド全体に伝えるという特殊な 役回りを感じます。是非ともみていただきたい映像です。

古いものをいろいろ探し回っていますが、Jerry Roll Mortonくらいになるともう映像は皆無ですね。残念です。ではまた。

2015/1/2

あけましておめでとうございます。

こ の年明けはLester Youngの"Lester Young Trio"に始まったような感じです。このアルバムは当時としては比較的オーソドックスな編成である、ベースレスのトリオで演じられています。ピアノは Nat King Cole、ドラムはBuddy Richで、当時腕が認められていた3人の黄金のアルバム、という感じです。Lester Youngといえば、Kansas City出身のサックスプレイヤーで、当時New Yorkで名を馳せていたColeman Hawkinsが舌を巻くほどの実力だったと言われています。Nat King Coleは歌で有名ですが、ピアニストとしても一流です。Buddy Richは言わずと知れた超絶技巧ドラマーですが、地味で繊細な演奏にも定評があります。このアルバムでは、Lester Youngのどこか郷愁を誘うような独特のサックスの響きとビバップの全身を思わせるシンプルな構成、それにベースという強固な下地を抜きにピアノでそれ を支えるNat King Coleの的確な伴奏が、決して現代では得ることのできない特殊な緊張感を生み出しています。下支えするBuddy Richのシンプルなドラムも良し。これは必聴!

スイング、ビバップの時代に培われた黒人独特の演奏技法が失われて久しいように感じますが、ここらで再度注目を向けるべきではないかと思います。ではまた。