2011年-2012年

 

2014/12/4

Walter Bishopのライブ盤を2枚買いました。"Walter Bishop Jr. Trio Live in Tokyo" "Walter Bishop Jr. Trio Live in Paris"。 メンバーはそれぞれベースPaul Brown、Michel Gaudry、ドラムスWalter Bolden、Charles Bellanziで、1987年、1989年にライブ録音されたものです。Walter Bishop Jr.は若いころからKenny Clarke、Sonny Rollins、Art Taylorらと友人だったということもあり、バップにおいて卓越した経験値の持ち主と言えますが、演奏スタイルが比較的地味であるのに評価が高いのは、 控えめながら有無を言わせない正確なリズムと独特のアレンジが効いているのでしょうか。両アルバムとも、Walter Bishopの作品としては後年のものになりますが、全体に安定した良い作品になっていると思います。

個 人的な好みとして、Walter Bishopのピアノは何ともムツカシイ部類に入ります。Walter Bishopは非の打ちどころのないピアニストではあるのですが、構成、リズム、音のつくり方、どこをとっても地味で毒気のないプレイヤーです。毎日聴い ても飽きが来ない深みを持っていると感じながら、手放しで大好きと言えないところが難しい。でも聴く。ではまた。

2014/9/27

今 日はHarold Mabernを見に福岡は赤坂のbackstageに行ってきました。メンバーはピアノがHarold Mabern、ベースがRussell Hall、ドラムがLee Pearsonのトリオ編成で、Harold Mabernは昔から変わらないMcCoy Tynerのモード奏法を柔らかくした感じのスタイルで、残り二人は今風(というか、ニューヨークのライブ動画で見られる比較的若いプレイヤーたちのスタ イルと同じ)でとてもシャープでした。Harold Mabernは音量のダイナミクスとクリアカットなリズムが魅力的でしたが、音楽的にはかなり大味でした。80歳近いこともあってかミスタッチだらけでしたが、それもご愛嬌という感じです。

Harold Mabernは1936年生まれ、Jazztetを初め、Sonny RollinsやFreddie Hubbardなど名立たる名手を相手にしてきた著明なピアニストですが、個人名義での演奏はそれほどよく知られていません。高齢ということもあってか、 近年、再注目されている節があります。Wes Montgomeryの出演映像"Jazz 625"にはピアノとして参加している若き日のHarold Mabernが見られ、こちらは今より随分タイトな演奏をしており少し印象が異なりますが、堅く強力なブロックコードは当時から健在です。

ベースのRussell Hallはまだ19歳という若手で、これからにも期待ですね。Lee PearsonはSpyro Gyraのドラマーだそうです。Kenny Barronはじめ著明なミュージシャンのサイドを数多く務める、現在売れっ子になりつつあるプレイヤーの一人ということです。今日のライブは、面白かっ た、ですが、疲労がすごい。ではまた。

2014/8/17

Phineas Newborn Jr. "Piano Portraits"。このアルバムはPhineas Newbornがちょうどコマーシャルに乗り始めたころに録音したもので、"A World of Piano"、"The Great Piano of Phineas Newborn"と近い時期、"I Love A Piano"と同じ日に録音されています。持ち前の卓越した技術をいかんなく発 揮し、初期のころの少し軽めの印象を持たせるタッチで演奏します。曲目はスタンダードばかりで、全体的に大人しく歌っぽい感じの演奏で、落ち着いて聴く分 にもとても聴きやすいアルバムと思います。何よりも、このPhineas Newbornというピアニストの泣くようなピアノの音が心を掴みます。

これまでに何度かPhineas Newbornについて同じようなことを書きましたが、とても不遇の天才です。上記のアルバムのリリースには注目が集まり、結果として一意見としての批判 も生まれました。これが天才の心に圧し掛かることとなり、潰れてしまいます。その後の活動は断続的で、独特の味わいはあるにせよ、初期のころの勢いはあり ません。この"Piano Portraits"は初期の中では後半に位置し、最初期よりも成熟しかつ大変勢いのある演奏を聴くことができます。お勧めの一枚です。

ホコリをかぶっているレコードたちをメンテナンスするために、色々流して聴いています。ではまた。

2014/8/16

Gil Coggins "Better Later Than Never"。このアルバムは、Gil Cogginsが残した2作のリーダーアルバムのうち、2003年に録音され、死後になってリリースされたトリオアルバムです。Gil CogginsはMiles Davisにも評価されたピアニストでしたが、安定した生活のためプロ活動をやめ、不動産業を営むようになります。その後、音楽界に復帰してからは、 New Yorkのジャズシーンではビバップを演奏する数少ない名手として知られており、Sonny RollinsやJackie McLean、Louis Hayesらから声をかけられ演奏することもあったといいます。そのGil CogginsがSmalls Recordsに録音したアルバムは、ごく身近なコミュニティーの中でのみ販売されたようですが、広くコマーシャルに乗ることはありませんでした。このア ルバムの存在を私が知ったのが10年近く前ですが、その時に思い立ってSmalls RecordsのオーナーであるLukeさんにメールを送ってみました。返事には、次のように書いてありました。「確かにそれはレコーディングしたが、彼 の音楽を支えたファミリーのために行ったのであって、全世界に発信する方針のものではない・・もしそうなればいいなとは思っているけれど」「プレスした CDを持っている人たちが、もしかしたらくれるかもしれない。彼らに声をかけてみよう。もらえるといいね。」結局私の手元に届くことはありませんでした が、amazon.comで販売されるようになったのが2007年。感激でした。今でもこのアルバムは私の一番のお気に入りで、毎日のように聴いていま す。知識や技術に圧倒的に裏打ちされた音楽が大きく占める現代ジャズ界ではもうほとんど得られない、大変深い味のある音楽です。たどたどしくも信念を感じ させるリズム、朴訥とした構成、そして、整然さを欠きまるで3人が会話しているように音をちりばめたバランス。面白い音が現れたと思ったら消え、それまで 隠れていた音が聞こえだす、ハードバップ以前では当たり前のように行われていた独特な音の作り方をそのまま味わうことができます。素人向きでは決してあり ませんが、このアルバムがもっと世に知れるようになる日を望んでいます。

久しぶりに家でこのアルバムをかけながらゆっくり過ごしたら、あまりに感動的だったので、思い出して書いてみました。ではまた。

2014/8/1

長らく空けておりました。リンクが切れていた各地のジャズスポット地図のリンクを貼り直していますので、ぜひ見てください。

Nat King Coleの生涯を調べていますが、有名人だけあって長い。弟のFreddy Coleの話が少し出てきましたが、以前福岡にツアーで来たことがあって、その時に見に行ったのを覚えています。内容は全然記憶にありませんが・・。全米 でもポップスで大成したジャズシンガーということで有名なようですが、最初はピアニストとして活躍しています。当時の三大ピアニストと言えばArt Tatum、Erroll GarnerそしてNat King Coleです。これは忘れてはいけません。

なるだけ更新していきます。こどもかわいい。ではまた。

2014/1/12

Johnny Griffinは"Chicago, New York, Paris"において、若手を多数起用して録音していますが、参加しているのがRoy Hargrove、Gregory Hutchinson、Peter Martin、Christian McBride、Rodney Whitakerといずれも後に名を馳せる面々。録音は1991年で、新進気鋭の勢いのある演奏をするメンバーです。プラスしてKenny BarronとVictor Lewisが参加してますが、サポート的な役割でしょうか。Johnny Griffinはいつも通りです。酔っ払いのようで?素晴らしい演奏をしています。何度聴いても面白いプレイヤーです。

Johnny GriffinといえばEddie 'Lockjaw' Davisとの多数の共演作もおすすめです。今日聴いていたのは"The Tenor Scene"ですが、2人の強烈に個性的な演奏の前では、楽器が同じことなどあまり関係ないように思います。このアルバムに関してはまたバックがすごい! Thelonious Monkのバンドで知られるLarry GalesとBen RileyのコンビにピアノはJunior Manceです。リズムセクションは意外と前のめりで明るい感じにまとまるのが面白い。Junior ManceのバックはなんとなくNorman Simmonsと似て感じるところがあるのですが、他のメンバーが鳴らしている音に分け入るような、音が重複しないような音選びがよく耳に入ってきます。よくわかりませんがとにかく面白いってことです。

子曰く、故きを温ねて、 新しきを知れば、以って師と為るべし。ではまた。

2013/10/9

Booker Ervin "Structurally Sound"は1966年録音のBlue Noteのアルバムで、トランペットにCharles Tolliver、ピアノJohn Hicks、ベースRed Mitchell、ドラムにLenny McBrowneというハードバップからいわゆる新主流派に渡るメンバー構成で、全体にやや軽く小気味の良いリズムで裏打ちされ、表でいつも通り Booker Ervinが踊り狂う、という感じです。Lenny McBrowneがハイハットを強調しない分シンバルレガートが強調され、軽く仕上がっているように感じます。個人的にはベースのRed Mitchellはやや薄すぎるというか、もう少し音が前に出て攻撃的な感じになっても良いと思うのですが・・。Charles Tolliverはこの時期まだ売出し中くらいの知名度だと思いますが、Woody Shawを思わせる気の利いたフレーズにFreddie Hubbardに対抗するようなシャープな音は次世代の代表格を予感させます。とにかく勢いが、すごい!

Charles Tolliverは1940年代生まれの、ハードバップ期においては若手に位置するプレイヤーです。Jackie McLeanやBooker Ervinが20代の彼を取り上げているアルバムが知られていますが、1970-80年代ごろに新主流派として活躍するその前段階というか、とにかく前に プッシュしていく勢いのあるリズムとシャープな音、まだ若いだけというにはポリシーのある音楽で、とても魅力的です。この時期の人は、現代において鳴りを ひそめてしまっているように思います。商業において安定した成功を収めている「ハードバップ」と「現代ジャズ」の間に隠れてしまっているということでしょ うか?もったいないと思います。

このアルバムはDancing in the Dark、Shiny Stockingsなど少し古いスタンダードがたくさん入っています。Berkshire BluesはRandy Westonの曲ですが、仲が良かったんでしょうね、別のアルバム"African Cookbook"ではRandy Weston本人によりBooker Ervinが絶賛されています。音楽的に相性が良いようで、こちらもおすすめです。ではまた。

2013/7/15

"When Farmer Met Gryce"はArt FarmerとGigi Gryceの共演作で、オーソドックスなハードバップのスタイルにくすんだArt Farmerのトランペットと品良くも退屈には済まさないGigi Gryceのアルトサックスがバランスよく重なったアルバムと思います。ピアノはHorace SilverとFreddie Reddが半分ずつ入っていますが、ここではフロントセクションの雰囲気もあり、好みでしょうがFreddie Reddの方が感じが良いかもしれません。ベースはPercy HeathとAddison Farmer、ドラムはKenny ClarkeとArt Taylor。Addison FarmerはArt Farmerの実弟で西海岸のミュージシャンのサイドメンに参加しているものがいくつかありますが、今回は兄弟ということでの起用でしょうか。

Attila Zollerの"Gypsy Cry"を聞いてみていますが、このAttila Zollerという人はハンガリー出身、本アルバムが代表的な作品にして超名盤、ということのようです。メンバーもHerbie Hancock、Reggie Workmanらが参加し豪華ですが、今一つ惹かれないように思うのですが・・。関係ないですがギターつながりで、、  Pat Methenyは18歳の時にGary Burtonのコンサート会場の楽屋に突撃し、その場でギターを弾き実力を認めさせ、Gary Burtonは彼をBerkley音楽大学に推薦、講師になるというすごい経歴です。21歳の時に出した初リーダーアルバムが"Bright Size Life"。もう少し後年に発表したものと思っていました。その道では大変な人たちなんでしょうが、いかんせん聴いたのが私で残念!でした。

本日、Ahmad Jamalを制覇すべく聴いております。ではまた。

2013/6/2

Charlie Christianをフィーチャーしたその名も"Dizzy Gillespie featuring Charlie Christian"というアルバムが2003年ごろ出ているようですが、これの中身がどうやら怪しいです。明らかにCharlie Christianではないギターが参加していたりと、内容に怪しい点があります。

2013/6/1

長く更新をさぼってしまいました。

Bud Powellの未発表録音を収録したシリーズ"Earl Bud Powell"は、一番最初の録音とされるCootie Williamsとの録音からヨーロッパ時代までのものが収められており、好きな人は必聴です。この録音は1944年6月4日に吹き込まれており、最も古 い録音と考えられています。録音にも、後のBud Powellの演奏の面影が見られます。それにしても、このときまだ20歳。Dexter Gordonの"Dexter Rides Again"でもサイドメンとして、若いころのBud Powellが参加していますが、どうやらこれはBud Powellの録音の中でも公式に発表されたものではCootie Williamsとの共演に次いで最古に近いものになるようです。こちらでは、スイング時代の香りを残しつつもより成熟したシングルトーンのソロを聴かせ るBud Powellの演奏があります。雰囲気としては、DialやSavoyに吹き込んでいたころの初期のCharlie Parkerのバンドのような感じでしょうか。心地よい演奏です。

Charles MingusバンドのCDを聴くたびにいつもはっとさせられるのですが、今日聴いていたアルバム"Paris TNP, 1970"はそのきれいな録音がややイメージを狂わせるように思って聴きはじめたのですが、いきなり突き抜けるようなアルトサックスのソロが始まったかと 思うとClark Terryばりの暑苦しいトランペット、この人たちは、一体何だ。Charles McPhersonにEddie Prestonという人たちでした。Charlie McPhersonは少し意外でしたが、それよりもEddie Prestonって誰だ?この人はビッグバンドでの活動で知られる人らしく、Duke Ellinton楽団やCount Basie楽団にも所属していたことがあるようです。トランペットの音色も、まさしく、という感じで、勢いのある倍音の強い叫ぶような音色をだし、色々な フレーズで攻めるよりは音の印象を大事にしたような演奏です。Mingusバンドは色々なフロントセクションを使っていますが、そのたびに発見をさせられ ます。

仕事で北海道に行くので、あちらのお店を紹介してみようと思います。ではまた。2013/1/30

Charlie ParkerのSavoyの録音はもうこれまで耳にタコができるくらい聴いたつもりでしたが、本日聴いていたMiles Davis All-Starsで吹き込まれたMilestones(Charlie Parkerはテナーで参加しています)のピアノ、これはいったい誰だ!?と思わず気持ちが引き寄せられるような、シンプルなのに心のあるリズム、決して 奇を衒った面白い演奏を狙っている風ではないのですが、これは久しぶりに受ける衝撃でした。不勉強を恥じてクレジットを確認するとなんと、John Lewisです。John Lewisのピアノはここでも一音一音の響きに重きを置いた演奏で、演奏自体は地味ですが、フレーズ一つ一つに説得力を帯びた実のある演奏という印象で す。天才が新たな天才を呼び寄せるようなそんなジャズの熱い時代だったのでしょうが、派手な演奏がもてはやされる中で名声を勝ち得たJohn Lewisというピアニストに強く惹きつけられます。

Dick TwardzikはChet Bakerのアルバムに名前が見られる、比較的マイナーなピアニストですが、彼のごくわずかなリーダー作は"Complete Recordings"としてまとめてあります。これはマニアックなジャズファンならば一聴の価値あり、のアルバムです。24歳で麻薬過剰摂取により亡く なった、おそらく早咲きの天才プレイヤーなのですが、他の天才たちと比べて知名度が低すぎる点が残念なところです。この時代にここまで、と思わせる Lennie Tristanoばりの先進的な音楽に、独創的な音楽が乗ります。白いElmo Hope、といったところでしょうか。おすすめです。

古い音楽だからと言って、新しいものが出てこないとは限りません。ではまた。

2013/1/2

あけましておめでとうございます。今朝の夢にGildo Mahonesというピアニストが出てきました。ピアノは弾いてくれず、本人のレコードがかかっていました。何かのお告げか?と思いますので、Gildo Mahonesを熱心に探してみようと思います。

Gildo Mahonesのリーダーアルバムは3作あり、それぞれアルバム名は"I'm Shooting High"、"The Great Gildo"、"The Gildo Mahones Trio"です。最後の1作は1990年録音と言うこともあり、比較的よく知られるアルバムですが、最初の2作はまずCD化されていないようで、レコード もなかなか手に入らなさそうです。差し当たってリーダーアルバムから攻めてみます。

"Mal-2"と"John Coltrane and Elmo Hope and Mal Waldron"というアルバムは実は含まれている曲が全く一緒であることが発覚しました。皆様、お気を付け下さい。ではまた。

12/26

Bertha Hopeのアルバム"Elmo's Fire"はElmo Hopeの楽曲を取り上げた珍しいアルバムで、妻のBertha Hopeならではの作品、という感じです。Bertha Hopeのピアノ自体は特長に乏しく、それだけを目的にこのアルバムを買おうというのは気が進まないところがありますが、サックスにJunior Cook、ドラムにLeroy Williamsを加え、ホーンセクションのアレンジを加えてのElmo Hopeの楽曲はそれだけでもうれしい気持ちになります。トランペットはEddie Henderson、ベースはWalter Bookerと、メンバーは比較的名の知れたところが並びますが、どこかイマイチ感の否めないこのアルバム。しかし、一聴の価値はあると思います。

最 近もう一枚購入したのはJon Mayerの"So Many Stars"です。Jon MayerはJohn Coltraneのアルバムに参加していることでも知られますが、それ以外ではほとんど無名に近いのではないかと思います。当時の演奏はビバップスタイル にどこか新しい色合いを加えたような演奏でしたが、このアルバムではオーソドックスながら近年よく聴かれるようなスタイルに変わってしまっています。刺激 に乏しいアルバムではありますが、ハードバップ時代の演奏家たちに共通する、和音を生かす強力なリズム感はここにも健在で、ライブで聴けたらどれだけ楽し めるだろう、と思いをはせるところがあります。

Jon Meyerにはリーダー作がありましたが、リーダー録音の無いピアニスト、例えばJohn Houstonなんかの録音が発掘されたら良いのに、とよく思います。ではまた。

12/20

Bobby Fewのアルバム"Lights and Shadows"はフリージャズのピアノソロアルバムとしては私の趣味としては最高の部類に入る良作です。いわゆるフリージャズが無機質な音列に音色や音の大小、強調されるリズムで以って音楽性を 吹き込むような形をとるのに対し、Bobby Fewの奏でる音の組み合わせそのものは既存の和音に近く、美しく形作られたものの端々が崩れるような、不思議な印象を与えます。

お そらく純粋なフリージャズピアノの中で王道というとCecil Taylorになるのでしょうが、実際にはCecil Taylor以外のフリージャズピアニストを引き合いに出されることはほとんどなく、偏りのある見方をしている感を否めません。他にどんな人がいるかと言 うと、Horace Tapscott、Donald Smith、Matthew Shipp、それ以外ではMisha Mengelbergのようなヨーロッパ系のピアニストや日本のピアニストになってしまいます。これではちょっと勉強不足ですね。

Barry Harrisの"Luminescence!"は名盤の割にあまり知られていないアルバムの一枚に数えられると思います。tromboneにSlide Hampton、テナーサックスにJunior Cookが参加しているのも面白いのですが、バックもBob Cranshaw、Lenny McBrownneと少し変わった顔ぶれ。演奏はいつもと比べて全体にクールな印象で、Barry Harrisのピアノは"Breakin' It Up"で聴かれる比較的初期のころのスタイルが強いように思われます。リズムが非常にタイトで、緊張感のある演奏です。

やはり趣味はバップ・ハードバップ期の音楽に終始してしまうようです。ではまた。

11/18

Dupree Boltonの"Fireball"としてリリースされているアルバムには、ギターのRay Crawfordが参加しています。Ray Crawfordといえば、私個人としてはAhmad Jamalの"Poinciana"でサイドを務めている際の実にサイドメンとして忠実で丁寧なバッキングが印象的で、ソロイストとしてはイマイチな印象 がありましたが、本アルバムでは非常に表現豊かな音色でハイテンポの曲までカバーする、スキルの高いギタリストとしての側面を聴くことができます。ちなみ にこのアルバム、ピアノはDolo Coker。マニアックな喜びのあるアルバムではあります。

Ray Crawfordはリーダー作"Smooth Groove"が知られています。こちらはJohnny Coles、Cecil Payne、Junior Mance、Ben Tucker、Frankie Dunlopという豪華メンバー。ぜひとも入手したいアルバムです。

冬場になると、"Lockjaw" Davisが聴きたくなります。ではまた。

7/17

"Hannibal" Marvin Petersonは1970年代を代表するトランぺッターの1人として知られていますが、ジャズ全体としてはあまりメジャーな存在ではないと思います。 "Hannibal in Berlin"はテナーにGeorge Adamsを加え、どこまでもまっすぐにひた走るような暑苦しい演奏が印象的なアルバムです。また、John Coltraneを敬愛するプレイヤーなんだそうで、演奏スタイルと言うかその雰囲気も納得いくところがあります。この世代のトランぺッターはよく知りま せんが、これはとても面白いアルバムと思いました。テナーサックスGeorge Adamsにが参加していますが、他のメンバーはおそらく現地のプレイヤーで、ピアノMichael Cochrane、チェロDiedre Murray、ベースSteve Nell、ドラムスAllen Nelson。

Johnny Griffinの1976年の録音、"Live in Tokyo"はそのライブの在り方をよく説明してくれるようなアルバムで、Johnny Griffinらしさの宝庫とも言えるかもしれません。弾性のある音、めまぐるしく変わるフレーズ、ダイナミックなリズム、そういったJohnny Griffinの魅力を存分に楽しめるアルバムです。また、彼の一回のライブがどれほど魅力的だったかを示す証拠でもあります。ライブに立ち会う機会を得 た人はLittle Giantのニックネームの真意を理解するそうですが、もうそのチャンスに巡り合えることはないのだと思うと残念で仕方ありません。ピアノはHorace Parlan、ベースはMads Vinding、ドラムはArt Taylorです。どこまでも最前線を攻めるArt Taylorのドラムにもぶっ飛びます。

先日書いたGarland Finneyは現時点ではSadik Hakimと別の人物のようです。Verveのレコーディングの他、いくつかのアルバムに名を連ねていました。

暑い日が続きます。ではまた。

6/18

Jone Jonesの"Jo Jones plus Two"はJo Jonesのアルバムですが、何よりこのアルバム名が物語るようにJo Jonesの魅力を堪能するにこれよりも上はないというようなトリオアルバムです。pianoでRay Bryantが参加していますが、そのリーダーアルバムに含まれる演奏と比較してしまうとなんというか、ひとスケール上を行く演奏になっています。Jo Jonesの大迫力が押し切ってしまっているというとそれまでなのですが、そのブラシテクニックとスティックワークとの隙間のなさがドラマーの真髄とも言 えるビート感の調和というか、バンドサウンドのとりまとめというか、とにかく他のパートを立てつつドラムが中心となった音楽を楽しめるアルバムになってい ます。すごい!ちなみに、Ray Bryantのアルバム"The Ray Baryant Trio"と重複した曲があるので、それで比較してみると面白いです。

Garland Finneyという名前でクレジットされているピアニストがLester Youngのアルバムに出てくるのですが、調べても全く正体不明。音だけ聞くとSadik Hakimによく似ているので、本人かもしれません。これを確認する方法はおそらくないのでしょうが、もし正しければ、大変貴重な若き日のSadik Hakimの動画が存在することになります。ではまた。

6/17

Tubby Hayes "Return Visit"はJames Moody (クレジットにはJimmy Gloomyと記載) 、Roland Kirkを従えた3テナーの大迫力のアルバムで、特に熱気の籠る演奏で良く知られる3人ですが、このアルバムに関してはJames Moodyを推したいと思います。James Moodyは教育熱心なミュージシャンであったことでもよく知られるようですが、このアルバムではアグレッシブに食らいこむようなソロを展開する様子は後 輩であるRoland Kirkをさらに抑え込むような様子すら感じます。決して奇を衒うような演奏ではないのですが、「そこから来るか!」とついつい熱くなるところはさすがと 思わざる絵をません。面白いです。

先日購入したレコードのレビューの続きです。Earl Hines "The Real earl Hines"はソロありコンボありのライブアルバムで、1964年のNew Yorkでの録 音です。「私はバンドピアニストだ。こんなコンサートをやったのは初めてだよ」とのライナーノーツの記載とは裏腹に、この1回のライブレコーディングの中 にエンターテイナーとしても演奏家としてもある種完成された境地が垣間見られます。Earl Hinesの印象は、ストライド・ピアノでならした猛者が決してストライドに固執することなくダイナミクスを重視し非常に自らのソロピアノの運びに柔軟に 当たっているその姿でした。楽しめるし何度聴いても飽きがこないというのは理想的ですね。ちなみにベースにはAhmed Abdul-Malik、ドラムにはOliver Jackson、テナーにBudd Johnsonが参加しています。バップを聴く耳だとEarl Hinesはじめスイングから中間派のピアニストは違いが分かりにくいですが、その根っこを探る意味でももう少し熱心に聴く必要がありそうです。

Jimmy Forrest、Frank Fosterらビッグバンド世代のホーン奏者がコンボで演奏するものが実は後進よりも断然面白かったりするのですが、それはまた後日語ります。ではまた。

5/6

福岡ボーダーラインレコーズの主催するセールThe Art of Records, Vol.6でレコードを大量購入して来ましたので、一部レビューします。

Ronnell Bright "Wright's Spot"はギターKenny Burrell、ベースReonard Gaskinによるトリオアルバムです。このRonnell Brightという人についてはこれまで全く名前すら聞いたことがありませんでしたが、どうやらボーカルのバックとしての活躍がよく知られているようで、 Carmen McRaeやSarah Vaughanのサイドメンとして参加しているものがありました。また、スタジオミュージシャンとしての経歴もあることから、個人のプレイスタイルのみで 売り込んでいくタイプのピアニストではなさそうです。演奏はと言うと、比較的リズムが軽くサクサクとしたピアノで、Carl PerkinsやWade Leggeを彷彿とさせるビバップより少し古めのスタイルで、アルバムの雰囲気は悪くないのですが、今一つ印象に乏しいというのが本音のところです。

Andrew Hill "California with Love"はソロアルバムで、全体としてAndrew Hill独特の世界が繰り広げられる感じですが、他のプレイヤーが干渉しない分、Andrew Hillという大変個性的なプレイヤーを純粋に楽しめる側面があります。明るいアルバムジャケットと内容のギャップが激しいのが難点と言うか、もう少し何 とかならなかったのか、と思いました。音楽そのものは暗くて陰鬱で難解な、いつものAndrew Hillです。ただ、ソロアルバムでは思っていたよりはるかに感情表現豊かなAndrew Hillが露わになっており、新鮮でした。

まだまだ沢山ありますが、今日はここまで。ではまた。

5/4

Archie Shepp "Trouble in Mind"はHorace Parlanとのデュオ作品ですが、非常に良いです。Archie Sheppという人は難しいことも色々やっているようですが、フリーのスタイルまでカバーするバラエティに富んだ音色を駆使してバラードを奏でるとこのよ うになるのか、と納得の一枚であり、何も考えずに聞いても非常に感じの良いバラードアルバムです。私が個人的に執心なのは淡々とバックを務めるピアノのHorace Parlanでしょうか。そこに出しゃばったもの、派手なものが何もなく、それでいて理想的なリズムを実現しているのだから、美しいとしか言いようがありません。お勧めの一枚です。

最 近買ったレコードでショックだったのは、Randy Westonの"the Modern Art of Jazz"です。これは、以前購入した"How High the Moon"というCDと全く中身が一緒という、大失態でした。Walter Bishopのアルバム"Milestones"が"Speak Low"と全く同じだったということが過去にあったのですが、こういうの、何とかしてほしい。ではまた。

3/27

Jackie McLeanの"Jacknife"は以前のJackie McLeanとはまた異なった趣があり、面白いと思います。この頃になるとJackie McLeanも実験的な音楽というよりはモード奏法に足を突っ込んだ演奏が体を成しているというか、不自然な印象を受けた時期のものとは明らかに異なりま す。トランペットにCharles Tolliverが参加しているのも面白い。ピアノのLarry Willisは、新しいものよりこの時期の演奏の方が好きです。

ス タイルとひとえに言っても難しいですが、Larry Willisと同世代のピアニストはハードバップ色を持ちながらもどこかそのベースにあるバップの音楽を薄めて使っているような印象があり、音楽全体がよ り印象重視というか、細かい一つ一つのフレーズの組み立てよりも、その時その時の響きに重視を置いているような感じを受けます。モードを取り入れた音楽を やる以上、避けられないことなのかもしれませんが、暑苦しいビバップの雰囲気が好きな人間からすると少し残念なところがあります。ではまた。

3/25

Charles Tolliverの"The Ringer"を聴いています。このアルバムは1969年録音、ピアノStanley Cowell、ベースSteve Novosel、ドラムJimmy Hoppsという顔ぶれで、ハードバップ直後の雰囲気をよくあらわしたアルバムだと思います。60年代後半を境にステレオレコーディングの発達もあり、音 楽自体はBlue Noteなどに聴かれるようなハードバップ色を強く残したものではありますが、きらきらした音色が全く異なる印象を与えます。商品としての音楽にも加工技 術の進歩が及び、これに対しミュージシャンも相応の音楽を作らざるを得なかった、という側面もあるのかもしれません。とはいえ、このアルバムに関しては Stanley Cowellの、時代としてはモダンな音楽性が録音にきれいに乗っかる印象が強いものの、Lee MorganらBlue Noteのレコーディングに多数残されている、モーダルハーモニーを重きを置いたファンキージャズ?の形をとっています。音楽自体は比較的王道に近いと思 うんですが、録音環境の変遷がかなり影響してるので、聴く人によってずいぶん印象が異なるのではないかと思います。

Charles Sullivanも同時代ということもあって、同じような印象です。録音の壁は大きいということを改めて実感する日々です。ではまた。

2/4

Johnny O'Nealの"On The Montreal Scene"、"Soulful Swinging"が届きました。やはりこのJohnny O'Nealという人はOscar Petersonのプレイスタイルをベースとしており、昔ながらの皮肉を含む明るい音楽を形作ります。"Soulful Swinging"はトリオアルバムであり、ベースにはOscar Petersonとの演奏でも知られるDavid Youngが参加しています。ドラムのTerry Clarke (Clark Terryではない) もカナダ人ドラマーであり、Oscar Petersonとの共演歴濃厚な人です。Oscar Petersonをベースにしていると言ってもOscar Petersonのように弾け飛ぶようなリズムではなく、少しタッチを深くどこか陰のある演奏をしてくれるところがJohnny O'Nealの魅力と言えるかもしれません。このトリオアルバムではDavid Youngの明るく前のめりなベースラインも非常に好印象です。一方、"On The Montreal Scene"での演奏は本人のボーカルにギターのRussel Maloneと少し色物の印象が強く、全体としてJohnny O'Nealのピアノ演奏が隠れてしまっている点が否めず、ピアノを聴きたい身としては残念でした。

Terry Clarkeの共演歴の中に出てくるLenny Breauというギタリストは良さそうです。以前購入したTal FarlowのDVDにも出ていたようで、名のある人なのでしょうか?カナダのギタリスト。ではまた。

2/1

Johnny O'Nealというピアニストは映画"Ray"でArt Tatum役を務めたことから広く知られるようになったピアニストですが、実際、その技術と表現力には圧倒されるものがあります。特に、映画で Yesterdaysを演奏したものが有名なんだそうです。少し聴いた感じだと、大枠のプレイスタイルはOscar Petersonに近いのではないかと思います。とりあえず、リーダー作である"On The Montreal Scene"、"Soulful Swinging"を注文してみました。届いたらレビューしてみようと思います。

Wikipedia には、Mulgrew MillerがJohnny O'Nealを絶賛している旨が書いてあります。Mulgrew Millerに言わせると、自分と同世代の中でもKenny GarrettとJohnny O'Nealは際立って優れているということだそうですが、どうでしょうか。特に左手の運用能力に優れたピアニストのように思います。

調べているとNeo-Bopという言葉が出てきたのですが、Wynton Marsalisらのいわゆるコンテンポラリージャズを指す言葉になるんでしょうか。いまいちよくわかりません。ではまた。

1/3

あけましておめでとうございます。

Duke EllingtonとBilly Strayhornのピアノデュオ作があります。"Piano Duet: Great Times!"というアルバムなのですが、これがまたすばらしい。両人ともその素晴らしい楽曲の数々は知られるところなのですが、Duke Ellingtonにしても、いささかビッグバンドの人、というイメージが先行し、演奏そのものに耳を向けられない傾向にあるように思います。このアルバ ムは二人のピアノデュオに他のリズムセクションを加えたもので、アルバムとしては少し格調高い、難しい印象を与えるものではありますが、この年代にすでに このような音楽が作られていたのか、と思うと痛快です。楽曲中にも聞かれるような独特のコードワークも面白い。また、Duke Ellingtonの作り出す強烈なリズムも魅力的です。

今年もよろしくお願いします。ではまた。

↑ 2012年

11/24

今 日もAhmad Jamalですが、今日は"Poinciana"というアルバムを聴いています。これはRay CrawfordとIsrael Crosby(もしくはEddie Calhoun)によるギタートリオですが、これは非常に良いです。Vernell Fournierの入った、ピアノの和音に非常に重きを置いたトリオと比較して、ピアノ、特にAhmad Jamalの左手がリズムの要となって響いてきます。Ray Crawfordは押しの強い演奏をするギタリストではありませんが、バランスよく音を組み立てる、ここでは良きサイドメンです。

Ahmad Jamalバンドはまた、Israel Crosbyを聴くことのできる貴重な録音を多数残している点が魅力です。若くして亡くなったIsrael Crosbyはあまり色んなミュージシャンとの録音を残していません。しかしながら、Ahmad Jamal Trioでは節々に各パートの響きを重視した構成を織り交ぜてくるため、Israel Crosby自身の演奏が活きる録音を多数残す結果となっています。動画としても残っていますので、そちらもお勧めします。

もうしばらくはAhmad Jamalばかり聴くことになりそうです。ではまた。

11/22

11月20日はギタリスト菅野義孝さんをゲストに迎えての「ジャズギター虎の穴」でした。どちらかというと演奏を肴にした宴会のようになってましたが、こういう趣のものもありだなと思いました。

Ahmad Jamalの"Alhambra"はフランスでのコンサート録音のなんだそうですが、Israel Crosby、Vernell Fournierともに冴えわたっており、非常にいいアルバムだと思います。なんといっても、Ahmad Jamalの演奏の醍醐味は静けさの中に突如火山でも噴火したかのように感じさせる、豊かなダイナミクスだと思います。テーマを提示しバンドを誘導する手 法も非常に新鮮で興味深いものですが、音そのものの表現の幅とその絶妙なリズムが実に自由自在、音楽を作る作業を目の当たりにするような面白いステージを 作ります。比較的新しいアルバムで、"In Search of the Momentum"はJames Cammack、Idris Muhammadを加えてのトリオですが、こちらはさらにそれを発展させたような演奏です。とはいえ、Ahmad Jamalの演奏は理解しやすい音楽かというと難しいところで、古いアルバムの方が馴染みやすい人が多いのだろうと思います。

"Jamalca"というアルバムも聴いてみましたが、これはジャズファンクみたいなアルバムでした。Ahmad Jamalに限らずですが、みんなこういうのを一度やってみたかったのでしょうか。ではまた。

11/5

鹿児島に行ったついでにジャズの店に少し寄ってきました。明日の地図、門、dufftownというお店に行ってみたのですが、詳細はリンクの項に追加してあります。鹿児島はここ数年でジャズのお店が大分減ったんだそうです。これはどの地域も一緒みたいですね。

Frank Hewittの新作"Salience"を買いましたが、内容は"We Love You"と重複している部分がたくさんありました。新たにリリースされた録音は4曲分で、後の5曲は"We Love You"と重複しています。Blue Noteレーベルでよくある、Additional trackのためにそのアルバムをもう一度買ってしまう減少と比べたらまだましですが、リリースされていない録音が残り少なくなってきたということでしょ うか?ちょっと残念です。このアルバムは全曲Ari RolandとJimmyLovelaceによるトリオです。

九州圏内でまだ全く回っていないのは佐賀、北九州です。他にも中心街から離れたお店はたくさんあるかもしれませんが、実際問題行くのは厳しいところです。ではまた。

10/25

リ ンクに福岡市内のジャズに関連のある店舗を追加していっています。福岡は、お世辞にもジャズの層が厚いと言えるような都市ではありませんが、都市が程よく 小さい分、どこに行くにも手軽です。空港から中心街まで10分そこそこなので、外から遊びに来る分にも良いのではないでしょうか。

Booker Ervinの"The Book Cooks"というアルバムがありますが、これは面白いアルバムでした。ピアノにTommy Flanaganが参加しているのですが、いつもの演奏と少し違います。具体的に言うと、いつものまっすぐな音楽の組み立て方を崩した部分が目立ち、知ら ずに聞くとTommy Flanaganとわかりません。Tommy Flanaganは初レコーディングが26歳の時で1956年ということなので、この録音時、30歳ということになります。既に懐が深いのか、周囲の影響 が色濃いのか、気になるところです。トランペットはTommy Turrentine、ベースにはGeorge Tucker、ドラムはDanny Richmondが参加しています。テナーにZoot Simsとあったのがまた驚きでしたが、先入観のせいでしょうか。

そ れにしてもTommy Flanagan、調べただけでも初レコーディングから30歳までにかなりの量のサイドメン参加を果たしています。初リーダー作である "Overseas"の録音までに40回ものレコーディングを果たし、この間およそ1年半。予定にぎっしりライブがつまり、2週に1回くらいはレコーディ ング、という感じでしょうか。録音をコンプリートするのは困難です。

Norman Simmonsのアルバムを数枚買ってみたので、また追々レビューします。ではまた。

10/10

バッ プ期にはCharlie Parkerを筆頭にとんでもないプレイヤーが現れては消えを繰り返しますが、特に古い時代によい録音を残しているアルトサックス奏者としてRudy Williamsというプレイヤーが挙げられると思います。有名なものではFats NavarroとTadd Dameronが共演している録音に参加していますが、なんせ亡くなったのが1954年とあって、録音はほとんど残っていないようです。プレイスタイルは 時代に沿った古典的ビバップです。ちなみに、Charles Mingusのいとこなんだそうですよ。

ま た、1940年代後半にはErnie HenryもまさにCharlie Parkerをなぞったような演奏をしています。それだけCharlie Parkerの影響力が強かったということなのでしょうが、その他に新しい音楽らしいものがほぼ全くと言っていいほど無かったというのも一つの要因かもし れません。後には、Ernie HenryはSonny Stittを思わせるような叙情的な演奏をするようになりますが、このあたりになると好き嫌いの趣味が分かれてくるように思います。

Booker ErvinとEric Dolphyの功績は何か?そういうことを我が家で話し合っていました。Booker Ervinは一音一音を非常にはっきりと出すという点と、Eric Dolphyは 音符の出し方そのものをあいまいにしようとするという点において全く異質のものであるという結論に達しました。ここで言えるのは、両者ともCharles Mingusバンドに端を発するとして、既存のジャズの方法論に異を唱えた演奏をしている点で共通しています。少なくともどちらもavoid noteを多用します。Booker Ervinは既存の方法論で音符を主張することにavoid noteを採用するという形で新たな音楽を展開したのに対し、Eric dolphyは音符という概念を取っ払ったフリージャズ寄りの音楽を展開した・・つまり、ドレミに属さない音を開拓したという点で両者は異質であるという ことです。いかがでしょうか?

酔っ払いのたわごとです。ではまた!

9/24

Oscar Brown Jr.という名前を聞いたことあるという人は、ジャズ好きならば多いのではないかと思います。シンガーソングライターで脚本家、というのが一般的な肩書だ そうですが、それよりも"Jazz Scene USA"の司会者として見知った人が大多数ではないでしょうか。実は、今や有名なNat Adderleyの名曲Work Song、これは歌詞もつけられ今ではジャズ・スタンダードとして、ポピュラーソングとして名を馳せていますが、なんとこの曲に歌詞をつけたのが Oscar Brown Jr.なんだそうです。参照

Ahmad Jamalの"Oympia"というアルバムを聴いてみてますが、これはとても良いです。テナーはGeorge Coleman、それにお決まりのJames Cammack、Idris Muhammadのトリオでの演奏です。Ahmad Jamalの演奏は、曲ごとの中でなにがしかテーマを提起してそれを中心にトリオの音楽を作るという形が多く、ピアノはあくまでそのテーマを支える形での 演奏をし、合間合間にベースやドラムのバックでの演奏そのものが所々で強調されるという非常に趣深いものです。Ahmad Jamalの強烈なリズムが全体に緊張感を与え、これがバンド全体の要を成している格好です。ここではまるでサックストリオでの演奏、そのなかにガツンと ピアノが入る、Ahmad Jamalカッコイイ!

ト ランペットで、非常に感じの良い演奏をするがそれほど有名ではない・・という人を挙げてみてましたが、Carmell Jones、Bill Hardman、Webster Young、Ray Copeland、Idrees Shriemanなんかが入ってくると思います。どうでしょうか。リーダー作はあるんだろうか。ではまた。

9/21

Charles Tolliver、Charles Sullivan、Hannibal Marvin Petersonはいずれも1970年代を代表するトランぺッターとして知られているらしいですが、実際にはかなり知名度が低いようです。前2者のアルバ ムは一応聴いてみましたが、当時の流行りなんでしょう、ハードバップから少し新しいスタイルでの演奏が多く、どう解釈していいかよくわからないところがあ りました。ともあれ、"Impact"、"Re-entry"はどちらも感じの良いアルバムでした。ハード・バップよりも少し新しく軽めの印象で、これは1970年ごろからは普通なんでしょうか?あまり趣味ではありません。

John HoustonというピアニストがGene AmmonsとSonny Stittの合作"Boss Tenors"に参加しています。全体としてはオーソドックスで地味ながら続きを気にさせる演奏で、たまに崩れるように音をつぶして見せるところも実は考 えのうちか、とあれこれ夢の膨らむところではあるのですが、その他のGene Ammonsのアルバムに少し参加している以外は全く情報がなく、何者なのかわからず仕舞いです。

Ray Draperはキッズ・ギャングに撃ち殺されたんだとか。悲惨です・・。ではまた。

追記:Dolo Cokerは健在と書いていましたが、確認したところ1983年に亡くなっていたようです。

9/18

Frankly Jazzというのは1960年代のアメリカのテレビ番組で、これには多くのWest Coastのジャズミュージシャンが出演しています。これにテナーサックスのCurtis Amyらのグループが出演しているのですが、ピアノで参加しているのがどうやらDolo Cokerのようです。同じメンバーで"Fireball"というアルバムも出ています。Dolo Cokerのピアノ演奏がちゃんと見られるわけではありませんが、数少ないDolo Cokerを確認できる動画であることは間違いなさそうです。ちなみに、トランペットでDupree Boltonが参加しています。

Dolo Cokerと言えば、Junior Cookの"Junior's Cookin'"にもピアノで参加しています。こちらも、Barry Harrisにどこか似たビバップフレーズにやや強引なダイナミクスを添え、飽きの来ない面白い演奏だと思います。Junior Cookって、なんとなくHank Mobleyに似ているという印象がありましたが、改めて聴いてみるとそうでもないですね。どうしても地味なところに位置してしまうサックスではありま す。

Dolo Cokerはまだ健在だそうです。ではまた。

9/11

Fats Wallerの項を更新していて面白い話があったので、紹介しようと思います。

Fats Wallerは当時としては非常にピアノの技術に優れ、客を喜ばせるパフォーマンスもこなせる「名手」だったそうですが、そのFats Wallerが誘拐されたことがあります。4人の男たちに縛られて連れてこられた先はパーティ会場、それはアメリカはシカゴを牛耳るマフィアAl Caponeの誕生日パーティだったそうです。禁酒法時代に密酒製造・販売でのし上がった近代マフィアの先駆け的な存在として知られる超有名人ですが、そ のパーティ会場に連れてこられて訳も分からずピアノに向かわされ銃を突き付けられ、演奏を強要されます。パーティのサプライズゲストだったんだそうです。 そこで3日間演奏し続け、泥酔し疲れ切った様子で出てきた彼のポケットには謝礼とチップが数千ドル。恐ろしい世界ですね。

Harold Landの"Mapenzi"は何度聴いても、良い!トランペットはBlue Mitchell、ドラムはAlbert Heathですが、なんだか信じられない若々しいプレイです。ピアノはKirk Lightsey、ベースはReggie Johnson。ではまた。

9/10

ぼちぼち活動再開しています。

Sonny Rollinsの項を更新しました。Sonny RollinsやJohn Coltraneは、恥ずかしながらほとんどちゃんと聞いていないように思います。Williamsberg Bridgeの話も、聞いたことはあった、という程度でした。復帰後に出したアルバム"The Bridge"についても、この逸話を知らなければ、何のことやら、という感じだと思います。この"The Bridge"はJim Hallが参加しているという点で有名だそうです。Jim Hallは1950年代の演奏を聴くと特にその地味さに驚くところがあるのですが、1960年代のこのアルバムを聴くと、理論に裏打ちされた近代ジャズギ ターのさきがけのようなものを感じます。古いものでは聴かれない、突っ込んだ、スリリングな演奏が端々に見られるようになっています。ところで、友人の話 ですが、Jim Hallのライブの後に楽屋に押しかけ、結局ホテルまでついて行って話を聞いたという彼は、Jim Hallに「私は、本当はWesのように弾きたかったんだよ」と言われたそうです。これまた意外。Sonny Rollinsはというと、いつも通りのように思います。3年に及ぶ休暇は、そのスタイルを抜本的に変えることが目的ではなかったようです。

久しぶりにちゃんと調べたように思います。もう少しまじめにやります。ではまた。

9/3

休 暇を利用して、広島および神戸のジャズスポットを巡ってきました。リンクのところにお店の紹介を追加しているので、見てみてください。広島もよいお店があ りましたが、神戸は特にお店が多く、ジャズのレコードを聴く目的のお店も沢山ありました。地下のお店が多かったように思います。ジャズ喫茶としては Voiceが非常に感じが良かったです。

Dolo Cokerは意外といろんなミュージシャンのサイドメンとしてアルバムに参加しています。Dexter Gordonの"The Resurgence of DexterGordon"、Junior Cookの"Junior's Cookin'" 、Art Pepperの"Intensity"などがそれに該当しますが、"Xanadu at Montreux"というアルバムも存在します。これは、1978年のMontreux Jazz Festivalの一場面だそうですが、Xanaduのミュージシャン面々が揃った興味深い一枚です。一曲目がいきなりバリトンサックスプレイヤー Ronnie Cuberのソロ演奏なのがインパクトあります。トランペットはSam Notoという人ですが、Al CohnやDexter Gordon、Kenny Drewらと活動したベテランプレイヤーのようです。ピアノはDolo CokerとBarry Harrisが参加していますが、Barry Harrisはちょうど"Plays Tadd Dameron"、"Plays Barry Harris"といったXanadu作品を出しだ時期と同時期ということになります。ジャズフェスティバルということもあるのでしょうが、とにかく全体に 熱いアルバムです。Dolo Cokerのピアノも冴えて、ガツンガツンと鋭くリズムのツボをついてくるような感じです。非常に良いピアニストだと思いのですが、知名度が伴わないもっ たいないプレイヤーだと思います。

福岡のジャズスポットも、聞いたことのないお店の情報を得次第、リンクに追加しています。行ってみた後でその様子を簡単に付け加えていますので、そちらもチェックしてもらえるとありがたいです。ではまた。

8/22

Harold Landのアルバム"Mapenzi"は非常に良いです。Harold Landと言えば、どちらかというとビッグバンド時代やClifford Brownの共演など古い時代の方が聞こえが良い印象があるのですが、少なくともこのアルバムに関しては勢いのある若い演奏を披露しています。印象として はGeorge Adamsのような前進的なリズムの演奏で、およそ年齢を感じさせない攻撃的な側面を見せます。ピアノはKirk Lightseyで、こちらも前のめりな演奏を聞かせてくれます。

内 容とはあまり関係ないですが、Jazz Messengersの"The Three Blind Mice, vol.1"のThat Old Freelingの5分目くらいのところで、Freddie Hubbardが一番やっちゃまずそうなミスをしているのが面白いです。かなり盛大にやってます。ライブ盤なので仕方ないのでしょうが、逆にこういうとこ ろもライブ盤を聴く楽しさと思います。

Dolo CokerのCDをもう少し探してみます。ではまた。

8/7

Jackie McLeanには息子がおり、Rene McLeanというサックスプレイヤーです。共演している"Rites of Passage"、"Dynasty"という録音もあります。非常に有名なプレイヤー、というわけではないのですが、初期には"Watch Out"という気合いの入ったアルバムも残しています。Jackie McLeanの息子として名が売れいているだけ・・というわけでもなさそうです。サックスの音そのもの、やはり父親の影響が色濃いのでしょう、独特のかす れたような音色を受け継いでおり、"One Step Beyond"でも聴かれるような、Jackie McLeanが模索の末に辿り着いたスタイルをなぞった演奏です。と言うと、やはり親マネなのではないか、ということになりそうですが、そこはまだ私が勉 強不足ということで、コメントは控えておきます。

先 日調べて知ったJon Meyerというピアニストは、実はJackie McLeanの"Strange Blues"にも参加しているピアニストなのですが、リーダー作があるということで、購入してみました。買ってみると、同姓同名のブルースシンガーのアル バムでした・・"Every Card I Have"という。皆様気を付けてください。ではまた。

8/5

Ahmad Jamalのアルバムをいろいろ聴いてみています。Ahmad Jamalと言えば"But Not for Me"を聴いてしまうと他が特に必要なくなるような印象はありますが、他のアルバムも同様に楽しめるようです。今日は"Alhambra"、"Count 'Em 88"、"Portfolio of Ahmad Jamal"、"The Ahmad Jamal Trio"を聴いてみました。特に面白いと思ったのは"The Ahmad Jamal Trio"という、ギターのRay CrawfordとIsrael Crosbyとのトリオ録音です。この録音はギターにRay Crawfordを加えての1956年の録音で、この直後にギターがドラムのVernel Fournierに替わり、大成功を収めるということになります。とはいえ、このギタートリオも面白い!ドラムを加えたバンドサウンド重視の演奏と比べ、 全体として一人一人の音にゆとりがあるような落ち着いた音楽を楽しめます。Ray Crawfordという人は、Jimmy Smithのアルバムにも参加しているようです。あまり有名な人ではないんですかね。

Ahmad Jamalのやり方自体は毎回同じですが、こういう演奏をしている人って全然いないんですね。フォロワーがいてもよさそうなのに、不思議です。

Israel CrosbyはAhmad Jamalのバンドのベーシストとして有名だと言っても過言ではない特異なプレイヤーですが、1962年に43歳で亡くなっています。生まれたのは意外に 早いんですね。Gene Krupaのバンドで1935年に16歳の若さで初レコーディングを果たすという偉業を成し遂げた名手なんだそうです。なぜAhmad Jamalはこんなにいいベーシストを手放したんだろう・・なんて思っていたのですが、已むに已まれぬ事情があったということです。ではまた。

6/18

"Clifford Brown & Art Farmer with the Swedish All Stars"にはピアノのBengt Hallbergが参加しています。この人のピアノは良いです。"Allstar Sessions 1953/54"で聴かれる演奏は、ストイックで飾り気のないまっすぐな演奏がツボにはまりました。歌っぽく演奏しよう、という姿勢はどの楽器の奏者にも見 られますが、ことピアノはそれが良く働くか悪く働くかが非常にはっきりしており、Bengt Hallbergにはそれを排除している演奏スタイルが良い面で働いているように思われました。これは単なる好みの話になるのでしょうが、ゴツゴツしたビバップが好きな人には比較的受け入れやすい演奏かもしれません。

Joe Gordonのアルバム"Lookin' Good!"にピアノとして参加しているDick Whittingtonという人がいますが、この人はMaybeck Recital HallのオーナをI時期務め、その間に有名なシリーズ"Live at Maybeck Recital Hall"の録音を行ったんだそうです。この中にはBarry Harrisら著名なピアニストのソロ演奏も含まれており、大変貴重な音源集になっています。Dick Whittington自身の演奏は、オーソドックスながら良くも悪くも耳に残らない演奏でした。ただ、この"Lookin' Good!"というアルバムは結構良いと思うので、気になったら聴いていただきたいと思います。そもそもJoe Gordonがあまり知られてないと思いますが、西海岸のトランペットプレイヤーとしては大変な実力者だったようです。

Roland Hannaをもう少し聴いてみようと思います。ではまた。

5/17

Jackie McLeanの"The New and Old Gospel"を買ってみました。これはOrnette Colemanがトランペットで参加しているという異色の作品ですが、個人的にはLaMont Johnsonが参加していることの方が大きい。LaMont Johnsonを名指しで評価する人を僕は見たことがありませんが、意外と好きです。プレイスタイルとしてはLarry WillisやMulgrew Millerの世代に聴かれるような、やや淡白なリズムにモーダルなフレーズを基調としたハーモニーを主に据えた演奏ですが、McCoy Tynerの演奏に聴かれるような「平らなモードを豪快に使う」ようなスタイルとは違い、現代のいわゆるコンテンポラリージャズの礎になったような比較的 なじみやすい音楽です。その中でもLaMont Johnsonは大味な演奏という印象が強いですが、聴いたらその印象はなかなか頭から離れないようなくせのある演奏だと思います。

先 日見つけてちょっと気になっていたWalter NorrisというピアニストのCDを買ってみました。詳細はまだ調べていませんが、フリーの畑で活躍したピアニストとして知られる人なんだそうです。 "Drifting"というアルバムを買いましたが、これはそういうイメージとは程遠いキレイな感じの演奏でした。ベースはGeorge Mrazです。もう少しどぎつい演奏をしてくれるものと期待していたので、拍子抜けでした。

少し前に見かけた映像ではWalter Norrisは非常によい演奏をしそうだったので、もう少し色々聴いてみようと思います。期待はずれだったら報告します。ではまた。

5/7

一日中家で作業していたので、Hank MobleyのCDを片っ端から全部かけてみていました。ここ数年全く聴いてませんでしたが、色んなアルバムがあって非常に面白いです。

"Hi Voltage"は ピアノにJohn Hicksが加わり、全体として軽めのイメージがありましたが、久しぶりに聴いてびっくりしました。若いころのJohn Hicksは、曲にもよりけりなのでしょうが、非常にアグレッシブな演奏をしています。演奏の細かい部分は現在のものとあまり変わらない印象でしたが、も しあったら若いころのトリオアルバムなんかを聴いてみたいと思いました。"Mobley's Message"も面白い。こちらはバップの色濃いアルバムです。ベースDoug Watkins、ドラムArt Taylorとまさにそれらしい顔ぶれで、曲もBouncing with Budや52nd Street Themeをやってしまっています。少し毛色が変わって"No Room for Squares"ではAndrew Hill、Herbie Hancockが加わった緊張感のある音楽が味わえます。ベーシストのJohn OreはSun Raにも在籍した経歴がありますが、この時点ではそういう側面はわかりません。

Tal Farlowの"Talmage Farlow"というドキュメンタリービデオを買ってみました。Tommy Flanagan、Red Mitchellらとのトリオの演奏映像も含まれており、ちゃんと見ていくとお宝映像が沢山ありそうでした・・が、2時間半の後半部分はほとんどが個人的 に撮影したビデオをそのまま流したもので、よくわかりませんでした。後日再検討します。ではまた。

5/3

今日は博多どんたくをやっているようです。

先日、仕事の関係で横浜のジャズ店を回ってきたので、リンクに追加しています。どうも福岡にももっとたくさんお店がありそうだ、ということで、そちらも探して追加しましたのでご参照ください。

Freddie Reddの"Redd's Blues"を買ってみました。これはBlue Noteから出ているアルバムで、デザインは"The Shades of Redd"と同じです。内容はFreddie Reddのオリジナル曲の演奏なのですが、トランペットにBenny Baileyが入っていたりとちょっと気になるアルバムです。Freddie Redd自身の演奏は、らしい、演奏です。diminishをよく使ってコードを歌らしくつなげる特徴がFreddie Reddの演奏には随所に見られますが、これが感じ良い演奏になる理由の一つかもしれません。Jackie McLean、Tina Brooksが入っているからとりあえず安心して聴ける、みたいなところもないとは言えませんが。

Freddie Reddのソロアルバム"Extemporaneous"はもともと日本語のタイトルで「ごめんなさい」とついていたらしいですよ。当時付き合っていた日 本人女性の影響かどうか、というところだそうです。リンクに追加した福岡のジャズ店には、まだまだ自分の知らないものがあるのではないかと思います。もし よさそうなものがありましたら掲示板にお願いします。ではまた。

4/17

リンクを少し更新しました。後輩おおもと氏の「まどぎわの音楽」、長崎のジャズバーKitty Hluse、八代のジャズバーFirstを追加していますので、よかったら開いてみてください。Booker Ervinの項も更新しています。

Freddie ReddのCDを数枚買いました。"In Sweden"、"Extemporanous"、"Piano East/West"が届きましたが、意外と良作続きで驚いています。"In Sweden"はヨーロッパツアーの際に行ったレコーディングですが、少しさわやかな印象があるものの、録音や演奏の質としてはFreddie Reddの全レコーディングの中でも比較的良いものの部類に入るのでは中と思います。メンバーはツアーに同行したTommy Potter、Joe Harris(数曲は別のメンバー)で、バランスとしてはよい感じです。Freddie Reddの演奏の特徴は、6-2-5の進行を丁寧なdeminishでつなげる点が特に目立つと思われますが、どちらかというと和音の側面よりは純粋にシ ングルトーンでの演奏を楽しめる作品だと思います。"Extemporanous"はソロアルバムで、Freddie Reddの作品としてはおそらく唯一のソロではないでしょうか。正直言って非常に地味なアルバムになってしまっていますが、Freddie Reddの色んな側面を楽しめるアルバムではあります。"Piano East/West"はHampton Hawesとレコードを半分ずつにした作品で、どちらかというとHampton Hawesを押すアルバムになってしまっていますが、こちらも若いころのやや攻め気味のFreddie Reddの演奏を聴くことができます。惜しむらくは、Hampton Hawesが絶好調であり、陰に隠れてしまっていることでしょうか。それはそれとしてアルバム一枚としては非常に楽しめます。

Freddie Reddの項にも少し内容を追加しました。ではまた。

4/10

昨日、福岡のジャズバーBrownyにてMorris Nanton、Dick Morganといった比較的マイナーなピアニストのレコードを聴 かせてもらってきました。中間派とでも呼んだらいいのでしょうか、スイングなど既存の音楽からビバップに完全に移行しなかったピアニストは多いと思います が、その範疇に入るピアニストたちです。特に目立つような強い個性があるというわけではないように思われますが、それが知られざるピアニストになってし まった一因かもしれません。演奏が良い、悪い以前に要因がありそうです。

先 日言及したGildo Mahonesも同様のピアニストのように思われます。"I'm shooting high"は好感のもてるアルバムですが、ビバップを手掛けるミュージシャンと比較するとどうしても特徴のないアルバムのように思われてしまいます。 Jimmy jonesやJimmy Rowlesといった世代のピアニストも同じような印象がありますが、これはハードバップ期に耳がなじんでしまっているせいかもしれません。好きでたまら ないなら、聞き分けることもできるんじゃないでしょうか。

Freddie Reddのアルバムをもう少し買ってみようと思います。ではまた。

3/20

Barry Harris、McCoy Tynerの 項を更新しました。この2人は特に音楽の内容について言及されることが多いようですが、その細かい活動や人柄、生活についてはあまり書かれることがないよ うです。薬物を使った荒れた生活というわけでもなければ大きな病に侵されることもなく、比較的穏やかに過ごしたということでしょうか。Barry Harrisは、Cannonball Adderleyのバンドに参加していた時の映像が最も古いのではないでしょうか。最近の映像は比較的たくさん残っています。McCoy Tynerはそれこそ大量にありますね。"One Night with Blue Note"ではソロも披露しています。

3/13

Gildo Mahonesというピアニストがいます。Pony Poindexterの"Gumbo!"に参加しているもので初めて聴いたのですが、どうやらオーソドックスなピアノを弾く人物らしいということ以外はよ くわかりませんでした。スタイルとしてはスイングからバップの移行期に聴かれるような比較的わかりやすい音選びのバップという感じです。リーダー作は3作 あるようですが、入手困難。ネット検索でも十分な情報は得られていません。Wikipediaによると、まだ生きているみたいです。 また情報収集して書 こうと思います。

Chick Coreaの"A.R.C."を久々に聴いてみました。これは、何かの雑誌で「Chick Coreaがフリージャズに挑戦した一枚」 のような書かれ方をしていた記憶があるのですが、今聴くと全然そんな風に思いません。根っからそういう音楽をやっている人たちのものとは全く違います。こ ういうもの、として楽しむものだと思います。ただ、Nefertitiを演奏しているのは好印象でした。ドラムのBarry AltschuはPaul Bleyらとも演奏活動していた経歴があって、アヴァンギャルド路線のドラマーなんだそうです。このあたりの人には明るくないのでよくわかりませんが、探 してみたらいろんなところに顔を出しているのでしょうか。

思うところあって、Bud Powellの"Bud Powell '57"を買ってみました。こ れはいわゆるBud Powellの「あまりよくない」アルバムに数えられるものの一つなんだと思いますが、時期としても病状が良くないころで、初期のころのほとばしるような インスピレーションは感じられません。ただ、Bud Powell独特の音の出し方、リズムの取り方はそれだけでも非常に魅力的で、結局Bud Powellを全部探して聴いてしまおうとすることの原動力になるのだと思います。そういう意味ではまだまだかけ出しですが、これからもう少し深く聴いて みようと思います。

今、世の中は東日本の巨大地震で大変なことになっています。当地の皆様のご無事をお祈り申し上げます。ではまた。

3/6

"Jug&Dodo"というアルバムが届きました。Gene AmmonsとDodo Marmarosaを中心としたカルテットのアルバムですが、ピアノ贔屓の自分としてはDodo Marmarosaが参加しているところを売りにして紹介したいと思います。Charlie Parkerらと共演していた時代の演奏と比べると演奏スタイルに変化はありますが、十分楽しめるアルバムです。しかし、Gene Ammonsの演奏にはどうしても「古臭い」という印象が残ります。ここは好みでわかれるのでしょうが。

Chick Coreaのアルバムに"A.R.C."というのがあります。以前に日記に書いたことがあると思うのですが、Chick Coreaが前衛的な音楽に挑戦したアルバムです。ベースはDave Holland、ドラムはBarry Altshulで、いわゆるフリージャズとはまた少し異なる印象ですが、久しぶりに聴いてみたくなりました。購入予定です。

Bud Powellの紹介を書きました。非常に悲しい内容ですが、納得の内容。付記したほうが良い逸話があったらぜひ、教えてください。ではまた。

2/6

"Michael Marcus Meets Jaki Byard"というアルバムを買ってみました。Jaki Byardに合うサックスと考えるとこれがなんとも難しい・・。しかし、このアルバムではピアノがサックスに歩み寄ったような印象を受けます。バランスとしては、この手の音楽としては聴きやすい形でまとまっています。そういう意味では、Jaki Byardに期待して買うアルバムではないかもしれません。

Dollar Brandは"African Piano"というアルバムで話題を呼んだピアニストですが、その他で名前を聴くことがあまりない。そういうわけで、Elvin Jonesの"Midnight Walk"を買ってみました(正確には、"And Then Again/Midnight Walk"という廉価版です)。こちらにはサイドメンで参加しています。"African Piano"と同様の演奏をしていますが、ややオーソドックスな演奏が聴かれ、面白い。このピアニストはもとは南アフリカのピアニストで、ヨーロッパに移ったことがきっかけで徐々に知られるようになっていったのだとか。現在ではイスラム教に改宗し、Abdullah Ibrahimという名前で活動しているようです。近いものでは、1999年にスイスのLuganoで催されたジャズフェスティバルに出演しています。詳細は後日、CD紹介のところに載せようと思いますが、演奏スタイルとしては、どこかCharles Mingusの系統に近いものを感じるというか、既存の美しい響きに違和感を混ぜたような音楽ですが、こちらは発祥がやや違いそう。正直、演奏そのものはあまり好きでないのですが、もう少しよく聴いてみようと思います。

Dollar Brandという名前で調べてもあまり出てこなかったのは、名前が変わったからだったんですね。勉強になりました。ではまた。

1/23

Ricky Fordの"Songs for My Mother"というアルバムが届きました。これはピアノにBobby Fewが参加しているのでとりあえず買ってみたアルバムなのでBobby Few以外のミュージシャンは全く分からず、メンバーを一人ずつ調べていっています。アルバム全体の雰囲気としてはオーソドックスなのですが、ここになぜBobby Fewなのか。非常に気になるところです。貴重な一枚ではありますが、イマイチと言わざるを得ません。

Dizzy Reeceは"Asia Minor"、"Star Bright"という良作を残しています。このDizzy Reeceというトランペッターは様々なプレイヤーの影響が聴いてとれる面白い演奏をします。ある意味ツギハギ・モザイク状の整っていない演奏とも言えるのかもしれませんが、少なくとも前述の2枚はお薦めできます。"Star Bright"ではThe Reboundという名前の曲ではありますが、実質I'll Close My EyesをThis I Dig of Youのコード進行で演奏してますね。Hank Mobleyのアイデアでしょうか。

調べてみると、個人撮影によるものですが、Dizzy Reeceの映像が残っているようです。年齢を考えると、今後は貴重なものになるかもしれません。ではまた。

1/15

Steve Kuhnの"Three Waves"が届きました。1966年の録音で、ベースにSteve Swallow、ドラムにPete La Rocaを加えての演奏です。演奏としてはBill Evans Trioの演奏形式を色濃く受け継いだ形で演奏していますが、Pete La Rocaの押しの強いドラムもあり、全体としてやや攻めの強い音楽になっています。にしても、Pete La Rocaが、攻める、攻める。こんなドラマーだったかなあ。

久しぶりにかけた"Mal-2"も、良いですね!Jackie McLeanが良いのはまあ当たり前のこととして、トランペットのBill Hardmanは全く印象に残ってなかったですが、Lee Morganばりの強いスイングに強引ではありますが音色の高低を強く出すところは非常に好印象でした。また、このアルバムにはJohn Coltraneが参加しているのもポイントです。Mal Waldron本人の演奏は、独特の音づかいや発音法を除けば非常に地味なものですが、このアルバムでは各ホーンセクションが強く主張する分、このピアノソロが強調されるように感じます。Malシリーズはどれも面白い。

Steve KuhnはSerge Chaloffの母にピアノをならったらしいですよ。紹介のところに書きました。ではまた。

1/10

マイナーチェンジしました。携帯電話でも見やすくなったと思います。

リンクを更新していると、かつてあったジャズのホームページもかなりの数が無くなってお り、ホームページからblogに移行したのがよくわかります。しかし、大学のジャズ研のHPはそういうわけにはいかないみたいで、大学ジャズ研のHPその ものをなくしてしまったジャズ研もありました。urlが変わっているものも多数でしたが、長いスパンでの活動を考えると出来れば変えずにいてほしいもので す。無料ウェブスペースを使っているとそうもいかない事情はあるのでしょうが。

youtubeでFreddie Reddのライブ映像を見かけたのですが、ベースがButch Warren、電子ピアノでの演奏でした。演奏自体は昔ながらのバップスタイルで、CDでも聴かれる地味な演奏は健在でした。少なくとも生存を確認できてよかったと思います。

Booker Ervinの"The Between"を買いました。これにはピアノでBobby Fewが参加しているのがポイントで、おそらく一番初期の演奏の一つに数えられるのではないかと思います。とは言え、まだ若いころのややリズムの浅い音楽 で、あまり印象に残らないのはさびしいところ。比較的最近の演奏で聴かれる、まとわりつくような感じはまだありません。まことに残念。

自己紹介欄も書いてみましたので、よかったら見てみてください。ではまた。

 

1/6

 あけましておめでとうございます。

 Elmo Hopeの演奏は何も意識せずに聴いていると別に何の変哲もないバップピアノなのですが、よくよく聴いてみるとなんだか妙ちくりんな展開であったり、変て こな繰り返し方をしていたりと、ところどころに理解に苦しむ部分があります。そういうところを意識しているうちについついハマってしまう(か、もしくは心 が離れてしまう)のがElmo Hopeの演奏の持ち味であると感じます。なんだかんだ言って、わからないというのは一番の魅力なのかもしれません。

 Sam Riversの"Fuchsia Swing Song"というアルバムでのJaki Byardに聴かれるのは「そういうことをやるか?」という強引な演奏だったりします。『強いリズム』というものがあると思うのですが、特にAhmad Jamalの演奏に出てくる絶妙なポイントを突くようなやりかたがそうなのだと思います。あっという間にその一点に全部が集まってしまうような、そんなポ イントを知っているミュージシャンがいるものです。というよりも、ジャズという音楽そのものが、昔は特にそれを追求したものだったのかも。

 今日、久々にEric Dolphyの"In Europe"のシリーズを聴いてみています。Eric Dolphyの演奏は、粗いところがかなりあると思います。でも、このうちどの程度を意識して演奏しているのか、それを思うと難しい。今年は昨年よりももっと色々聴いていきます。ではまた。