2010年

 

12/2

 このところSam Riversの"Fuchsia Swing Song"というアルバムをよく聴くのですが、これがなかなかよいです。このアルバムの雰囲気を作っているのはドラムのTony Williamsでしょうが、ピアノのJaki Byardも聞き逃せない。そしてRon Carterがベースに加わっていることによりマイルスバンドに感じられる何がしかがここでも耳に入ってきます。これは面白い。

 「若いころのTony Williamsが入っているアルバムはどれもどこかおかしい」なんていうことを聞くことがありますが、このアグレッシブさ、その割に聞きやすく仕上がっている感じはTony Williams独特のもののように思います。Joe Chambersとも近いものを感じることがあったのですが、正体はいったい何なんでしょうね。この2人が絡むとなんだか変な音楽になる。決して悪い意味ではありません。

 Walter Bishopの"Milestones"というアルバムを買ったら、中身が"Speak Low"と寸分違わず一緒でした。ではまた。

11/14

 Jaki ByardのCDを数枚購入しました。こういうのもなんですが、僕がこんなに好きになったピアニストはあまりいないです。自由自在と言えば聞こえは良いが、もう少しどぎつい言葉で言えば雑多。ただ、中心にある音楽は一貫しており、いわゆるミンガス音楽に端を発する「崩れたビバップ」です。一般にはアボイド・ノートと呼ばれる非常に響きの微妙な組み合わせの音を豪快に使う彼らの音楽はある意味圧巻・・だけど、クセが強い。しかしそれにしてもJaki Byardのどこがここまで心をつかんで離さないかと言うと、「音」でしょうか。とても表現豊かなピアニストです。まだ全部聴き切れていませんが、"Outfront!"はすごかった!現代ではJames Carterが取り入れている手法ですが、スイングからバップ、そして最先端の音楽まで一曲の中で移り変わっていく有様はいつもながら目(耳)を惹きます。"The Jaki Byard Experience"のRoland Kirkとの共演も熱い!こちらは特にその勢いに圧倒されます。

 それはそうと、Walter Bishopの"Milestones"というCDを購入したのですが、収録曲が全部"Speak Low"と一緒なんだけど、これは別テイクの収録ということだろうか。もしも中身が全部一緒だったらどうしようと思ったら怖くて、CDを開け切れずにいます。

 最近気に入るCDがどれも濃くて気軽にお勧めできないのがつらいところ。ではまた。

11/3

 久々の更新です。

 最近、Andrew Hillをよく聴いています。初期のリーダー作である"Sio in Love"を買ってみましたが、これは全体的に当時デビューした若手ミュージシャンの演奏としてありふれた形式でありつつも、以後Andrew Hillが手がける「リズムをはっきり主張しない技法」の芽生えを感じさせる、どこか変な雰囲気のあるアルバムです。正直、別にだから面白いのかと言うとそうでもないです。どこか尾を引くようなリズムで音を鳴らしている部分が随所にある、そこが気になる、という感じです。のちのAndrew Hillをある程度知った上で聞いて、楽しみを見出す、というな聴き方になってしまい、実に失礼極まりないので反省しました。おそらく初リーダー作なんじゃないでしょうか、アレンジも色々やっています。

 Andrew Hillという人のピアノは非常に面白いです。亡くなる直前の映像で以って彼の演奏の完成品なのだろうと勝手に思っていますが、もし機会があれば、ぜひそちらも聴いていただきたいと思います。とはいえ、非常にクセなりアクなりの濃いピアニストですから、多少の覚悟で臨んでいただく必要があります。

 Andrew Hillを絶賛するつもりだったのですが、全然褒めた内容になりませんでした。しょうがないですね。僕は好きなんですが。ではまた。

8/15

 Hank Jones、Wynton Kelly、Roland Hannaの項を更新しました。Hank Jonesは日本で知られている以上にアメリカでは非常に有名なピアニストのようですが、Roland HannaになるとWikipediaにもあまり記述がないようなややマイナーなミュージシャンになってしまうようです。最後は日本にツアーする予定だったらしいのですが、それを前にして亡くなったしまったんだとか。福岡にも来ることになっていたということで、非常に残念でした。

 Hank Jonesといえば、Great Jazz Trioが非常に有名ですが、個人的にはソロが一番好きです。ジャズピアニストに優雅さを求めるならば間違いなくHank Jonesでしょう。決して新しいことをやっているわけではないにも関わらず耳新しい、古きを温め新しきを紡ぎ出す、とても興味深いピアニストです。残念なことに今年5月に亡くなってしまいましたが、Hank Jonesの参加している作品は非常に多く、これから聞き始めるという人は長らく新しいものを発見し続けることができるのではないかと思います。

 また数枚CDを注文したので、楽しみに待ちます。ではまた。

7/31

 Chris Anderson、Sadik Hakim、Gene Harris、Ahmad Jamal、Eddie Higginsの項を更新しました。Chris Andersonはどんな病気かわかりませんが、盲目で骨折しやすい体質らしいです。演奏を聴いても、Chris Andersonは影を落としたような弱々しい側面を見せます。Herbie Hancockにそこがヒットしたのかどうかは置いておいて、何がしかの障害を負った人間が紡ぎ出す音楽は何らかの魅力を持つというのはしばしばあること、というわけで、もう少しよく聞いてみようと思います。ちなみに、動画が残っているようなメジャーな存在ではなかったようです。

 Gene Harrisは非常にメジャーな存在というイメージがあったのですが、一時期はNew Yorkから遠ざかっていたそうです。そういうミュージシャンは結構多いですが、腕が良ければやはり引っ張り出されるんですね。Ray Brownの誘いで第一線に復帰しています。

 今回の更新では、Ahmad Jamal以外は全員亡くなっていることがわかりました。ニュースにこそ上がっていないものの、ここ1‐2年が非常に多いようです。また調べておきます。ではまた。

7/25

 Bent Axen、Chick Corea、Al Haig、Eddie Costaの項を更新しました。Bent Axenという人は、おそらくEric Dolphyのヨーロッパツアー録音が最も有名ですが、おそらく個人名義のアルバムを知る人は少ないのではないでしょうか。北欧のピアニストです。

 Al Haigは、ビバップピアニストとして知られる以外にこれまで特に何も聞いたことがなかったですが、どうやらかなり暴力的な性格だったらしく、妻殺害の容疑で告訴されたことがあるそうです。詳細については書かれていませんが、首を絞めていたのは事実らしく、結果として階段から落ちて亡くなったという。服役していないことからも、死因は転落しだったのでしょう。

 Chris Andersonという人のCDを買ってみました。盲目のピアニストだそうですが、Herbie Hancockにジャズピアノの手ほどきをした人物なんだとか。病的骨折を繰り返していたと書いてあるのですが、一体何の病気なのか気になります。

 Dinah Washingtonは性格がきついことで有名だったんでしょうか?そういうことがChris Andersonのライナーノーツに書いてありました。詳細不明ですが、ほかにも似たような話があるのかもしれません。ではまた。

7/11

 Ronnie Mathews、John Lewis、Bobby Fewの項を更新しました。John Lewisという人は本当に学者という感じの人だったらしい。人類学、音楽ともに学問的に探求していった結果があの音楽だったようです。John Lewisの音楽を指して「面白みがない」という話を聞くことがありますが、要するに音楽そのものが大変生真面目、ということなのでしょう。

 John Lewisと言えば、全曲バッハの曲を採り上げた4枚組のアルバムがあります。この"Bach Preludes and Fugues"は意外と良いと思いました。批評家からは「B級作品」などとこきおろされたであろう作品ですが、John Lewisらしく丁寧に仕上がった感じがあり、決して心躍るような刺激のある音楽ではないものの、非常に好印象です。アルバムのライナーノーツでリズムギターについて語っており、その中でBarry Galbraithを取り上げて「本物のリズムギターを弾ける数少ない1人」と言っています。リズムギターなんてFreddie Greenくらいしか思いつかないですが、その中での善し悪しはまた難しい。Barry Galbraithという人も、Johyn Lewisとデュオの演奏など、数としては多数の録音が残っているものの、あまり知られていないギタリストです。

 "Chick Corea Electric Band II"というCDを買ってみました。これは高校時代に友人にテープで聞かせてもらったもので、Chick Coreaの変則的なアレンジが目立つ一方で最近ではそれほど新しくもない音楽ということになりますが、こうして聞いてみるとなんだか懐かしい。

 Chris Andersonという人のCDを注文してみました。マイナーな人なのでネットにもあまり情報がない。ではまた。

6/27

 引っ越しとウェブスペースの関係で更新が滞りました。今回はWalte Davis Jr.、LaMont Johnson、Herbie Nichols、Kenny Drewの項を更新しました。Kenny Drewは耳当たりの良い音楽をするようになってから売れてきたという感じが否めないところですが、昔の演奏の方がカッコいい!と思います。

 念願かなって"Down Home Reunion"というアルバムを入手しました。Amazon.comで探したら意外と見つかるのでお勧めです。このアルバムがなんで欲しかったかと言うと、ひとつはPhineas Newborn Jr.がピアノで参加しているということがありますが、もうひとつはこのアルバムがBooker LittleとPhineas Newbornの共演している唯一の作品だということです。Phineas Newbornが一番売れているのは出てきたばかりの50年代後半から60年代初頭ですが、この頃は数少ないながらサイドメン作を残しています。Howard McGheeの"Maggie's Back in Town"はその中では割と有名な方だと思います。よくわからんけどメンフィス万歳!演奏は全体としてブルース色が強いですが、Phineas Newbornは若き日のPhineasらしい軽やかな演奏で、alto saxのFrank Strozier、テナーのGeorge Colemanも熱い!George ColemanはMilesバンドのイメージが強いですが、こんな演奏もするのか。ベースはGeroge Joynerと、結構豪華メンバーです。ドラムのCharles CrosbyはRoland Kirkと一緒にやってるアルバムがあるみたいです。George JoynerとBooker LittleとくればEric Dolphyバンドですが、当然毛色の違う演奏をしています。一聴の価値あり。

 もう一つ、Oscar PetersonとJohn Faddisのデュオアルバムを買いましたが、こちらはちょっと期待外れだった・・昔聴いたときはもっと良いと思っていたのですが、正直John Faddisが勢いばかりの演奏をしている節が否めません。そう思うのは僕の単なる趣味なのか。難しいところです。

 引っ越しも概ね完了し、そろそろ前と同じようにジャズライフを送れそうです。ではまた。

6/6

 Sonny ClarkとDuke Pearsonの項を更新しました。Duke PearsonはBlue Noteのプロデューサー的な役回りが大きかったようですね。どうでもいいことですが、Duke Pearsonを初めて"Duke"と呼んだのは彼の叔父さんだそうです。ピアノがあまりにうまいものでそう呼んだのだとか。からかい半分だったのかもしれませんが、結果としてその通りになってます。

 Albert Aylerの9枚組アルバムをようやく入手し、日々少しずつ楽しんでいます。これがまた非常に良い!ディスコグラフィープロジェクトにも載っていないAlbert Aylerの50年代の演奏(徴兵時代のビッグバンドの中に含まれているというもの)が入っており、思わずニヤリとしてしまいました。だからなんだ、という話ですが、気持ちをわかっていただける方も多いのではないかと思います。内容は、というと、ライブ演奏がほとんどなのですが、どれをとっても所謂「アイラー泣き」が活き活きと聞かれ、好きな人にはたまらない録音の数々です。その音楽がどのように聴かれていたか、どのような在り方で存在していたかということを感じられるという意味でも、このライブ盤の寄せ集めは非常に価値があると思います。好きな人には、ということを前提に。

 昔レコードで購入したElmo Hopeの"Last Sessions"をMDを介してパソコンに取り込んでおいたのがここになって活きてきました。こんなに良いアルバムだったろうか。いや、そのようには感じていなかったのだが。他の作品に聴かれる、間違いなくバップのカテゴリに入る演奏をしているにも関わらず「捉えどころのない」音楽的フレームワークをガッツリと提示してしまうElmo Hopeのピアノですが、この"Last Sessions"はリズム面で他より少し抑えめに、ドラッグを感じる異様な高揚感を控えた演奏に感じます。要するに、他よりも少し聴きやすいというだけのことです・・。正直、Elmo Hopeのピアノは本気で聴かないと良く分からない上、わかった気になって聴いていても全然癒されないという代物。いつになったら慣れるのでしょうか。

 最近になって思い出したのですが、John Faddis & Oscar Petersonのデュオ作品があり、高校時代に今はなき福岡の老舗「Combo」で聴いてぶっ飛んだ記憶があります。気になるので買ってみることにしました。感想はまた後日。ではまた。

5/23

 Freddie ReddとDuke Jordanの項を更新しました。Duke Pearsonの項も更新するつもりでしたが、この人は意外と有名人なんでしょうか、思ったよりも長くなりそうなので、また来週。Duke Pearsonの代役でHerbie Hancockが起用されたりと面白そうな話がありました。

 関係ないけど、Sadik HakimはThelonious Monkの名曲Eronelの共同作曲者らしい。その他の曲にもかかわりがあるものが多いそうです。1947年にイスラムの名をもらいSadik Hakimとなったようですが、こちらも来週更新しようと思います。

 注文したAlbert Aylerの9枚組CDが待ち遠しい。ではまた。

5/16

 いつもと趣向を変えて、John Pattonの"Accent on the Blues"を買ってみました。これが予想よりも遥かに良い。びっくりしました。いわゆるファンキーな曲調のものしか演奏してませんが、John Pattonの魅力である鋭いようなのんびりしたようなリズムと展開を楽しめるアルバムだと思います。ドラムがLeroy Williamsだというのも意外で面白いと思いますが、引きのリズムが強く、このアルバムではなによりJohn Pattonとの絡みが非常に面白いです。全体の急ぎすぎないリズムがまた心地良い。

 ということで、John Pattonの項を更新してみました。とはいえ、調べて得られる情報は微々たるもの。ライナーノーツを読みつつ書き加えていくことが沢山ありそうです。ではまた。

5/9

 Hampton Hawesの項を更新しました。今のところはほとんどWikipediaの写しみたいな感じですが。ライナーノーツ読み読み付け加えていきます。

 Hampton Hawesといえば、Charlie Parkerが絶賛したピアニストとして良く知られていると思います。大変才能のあるピアニストだったそうですね。Sonny Clarkと仲良しで、良く一緒にギャラを分け合ってお薬を買いに行ってたそうです。

 Hampton Hawesは刑務所に入る前と後でかなり演奏スタイルが変わっており、後期は粘性の強いリズムはやや軽めになって、その代わり、Cedar Walton、Ronnie Mathewsらが開拓していった「スケールの外」の音と言うかそういう音使いをするようになっています。聴き比べると面白いです。後期の録音は、最初は嫌いでしたが、改めて聴くとそうでもないかも。

 次を誰にしようか悩むところです。ではまた。

5/4

 Walter Bishop Jr.、Wade Legge、Phineas Newborn Jr.の項を更新しましたので、見てみてください。まだ不完全ですが、ライナーノーツを見つつまた更新していきます。

 Phineas Newborn Jr.は実に不遇の人生を送っています。Oscar Petersonのようなビッグネームに名指しで評価されつつも結局は貧困者としての最後を送るというのは、Bud Powellに共通するものがありますが、精神を病んだ昔のミュージシャンは似たような境遇だったのかもしれません。大変いたたまれない。今晩は彼を忍んで"Please Send Me Someone to Love"をかけつつ寝ることにします。

 Phineas Newbornが心を病んだ点については音楽批評が理由であるように記載がありましたが、実際のところどうなんだろうか。出る杭が打たれるのはどこの世でもおそらく同じだと思いますが、単に神経質な人柄だったということなんでしょうか。なんにしても、惜しい、惜しい。

 一度だけ、福岡にライブで来たことがあるという話を聞いたことがあります。その時はボーカルと一緒で、ライブの最中は圧力をかけるような姿勢でボーカルに相対しており、ボーカルは涙を流しながら歌っていたとか。ホントか。聞くと納得できるようなところもありますが、そもそもPhineas Newbornが福岡に来るほど健康だったのかどうなのか疑問が残るところです。

 次は誰を更新しようか。ではまた。

5/2

 Elmo Hope、Richard Wyandsの項を更新しました。Richard Wyandsは今度ライナーノーツを読んでもう少し詳細に書こうと思います。

 Elmo Hopeについては実はどこにもあまりちゃんと記載されておらず、どこで生まれてどう育ったのかよくわかりません。Bud Powellと幼馴染なのは有名ですね。両者ともその道では著名ですが、Elmo Hopeは演奏内容含め際立ってアンダーグラウンドな存在です。正直、聴いていてよくわからないと思うことが未だによくあります。よくわからないということについては、展開が綺麗に追えない、というのが私の率直な感想です。奇人変人というのはわかる気がするのですが、どこか支離滅裂のようで、終わってみたらなんだか形になっているような気もする。

 Frank HewittもElmo Hopeの影響を強く受けた人物の一人ですが、今日やっとFrank Hewittの"Out of the Clear Black Sky"が届きました。"We Love You"や"Not Afraid to Live"はおそらくちゃんとしたレコーディングなんだろうなーと思いましたが、それ以降はライブか、プライベートレコーディングのような気がしますが、Frank Hewittの録音もあとどのくらい残っているのだろうか。

 少しずつですが、更新していきます。ではまた。

4/17

 Bengt Hallbergというピアニストはスウェーデン人で、"Clifford Brown Memorial Album"に入っているものが一番知られているかもしれません。Bent Axenを聴いた時も思いましたが、北欧のピアニストは面白い人が結構いるのではなかろうか。インターネット検索で少し探しただけでは正規の価格での商品販売はほとんど見つかりませんでした。少なくとも現代ではほとんど知られていないピアニストなんでしょう。

 知られていないと言えば、今日Frank Hewittの項を更新していて知ったのですが、Frank Hewittは"Jazz Underground: Live at Smalls"というコンピレーションアルバムのKenny Dorhamのバンドに参加しているらしいです。生前にリリースされた唯一の演奏なのだそう。ちなみに、Frank Hewittがメッセンジャーの仕事をしていたというのは耳にしたことがあるのですが、Walk-in refrigerator (冷凍配達業者?)をしていたと書いてあったのですが、"Fresh from the Cooler"というアルバム名はそれから引っ張ってきたのではあるまいか。

 もう一人くらい更新したいと思います。ではまた。

4/11

 このホームページも長くなりましたが、そろそろ模様替えをしようと思います。もっとシンプルに、かつ大胆に、という風に考えてはいるのですが、正直なところ無駄を省いて更新しやすいようにしたいというのが本音です。多少見にくい部分が出てくる可能性がありますが、適宜手直しをしていきますので、掲示板にご意見をお願いします。

 一人一人のミュージシャンのことを、私は知らなさすぎるのではないかという不安があり、インターネットや読み物で得た情報を各ミュージシャンの紹介の項に追加していっています。まだごくわずかですが、数年かけてうまく作ってみようと思っていますので、気が向いたら少し覗いてみてください。ちなみにまだTadd DameronやRandy Westonの項しか更新していません。

 少し前に大量に購入した(と言っても数枚ですが)Randy WestonのCDですが、まずは"African Cookbook"から紹介しようと思います。まずはライナーノーツから。

「アフリカは人類のルーツだ。私は必ずいつか、行かねばならないと思っていたが、1961年と1963年についにアフリカ行きを果たし、1967年には14ものアフリカの国々でツアーを行った。1968年に再度アフリカに来てからはモロッコのTangierにいる。アフリカ各地の文化で何がすごいって、それは音楽だ。力強く多彩で、『本物のドラムというもの』がそこにある。ことリズムに関してはどの文明が生み出した音楽でも、その繊細さや複雑さには敵わない。そして相手がどんな音楽、それこそジャズやゴスペル、ラテンやロック、ボサノバ、、、なんかであってもアフリカにリズムに『恩義』や『借り』のようなものがある。

『African Cookbook』という曲はアフリカのおかげで生まれた作品だ。メロディは北アフリカで生まれ、リズムはアフリカ全土に由来する。自分でもアフリカ的なリズムだとは思っていたが、これは1968年にツアーで回るまで気付かなかったのだが、Cookbookのリズムはアフリカのどこに行っても『私たちのリズムだ』と言われた。これにはおどろいた!

"African Cookbook"は沢山の、本当に沢山の世界中にいる音楽仲間と私の家族、素敵な父さん母さんに特別可愛い子供たちに捧げる。中でも特に近しかった音楽仲間は、このレコーディングメンバーだ。Booker Ervinはもうこの世にいないが、魂は共にある。彼の音楽が残る限り彼は、その力強さや優しさ、鋭さを失わずに生き続けるだろう。ユニークで、本当に惜しまれたプレイヤーだった。Portrait of Vivianは母のために書いた曲だが、本当にこの曲が生を受けたのはBooker Ervinが演奏したその時だ。Ray Copelandは初期からのメンバーで、何度も一緒に録音活動を行ってきた。アフリカにも共に行った。素晴らしいトランペッターでアレンジャーだ。Big Blackはとんでもない才能を秘めた打楽器奏者で、コンガでのリズムは本物のアフリカンビートを私たちの演奏に注ぎ込んでくれる。息子のAzzedinがコンガを始めたのも彼の影響だ。Vishnu Woodは独特のスタイルを持つ大変クリエイティブなベーシストで、間違いなく今日突出したベーシストの一人だ。特にCookbookでのベースラインを聴いてほしい。Lenny McBrowneはずっと前から知っているブルックリン仲間で、素晴らしいドラマーだ。安定したスイング感と、ドラマーに必要な繊細さや敏感さを持っている。Sir Harold Murrayは今回パーカッションを扱う優秀なコンガ・ドラム奏者だ。このアルバムにはなくてはならない存在だ。

バンドメンバーとは3年ほど共に活動して、この録音は解散する前に行った。私たちは共に魂や芸術性、苦労を分かち合って成長してきたつもりだ。お互いから学んだことも、刺激し合ってきたことも沢山ある。そういった素晴らしい経験の一部を感じとって欲しい。」

 適当に解釈して意訳してますが、概ねこんなことが書かれていると思います。演奏そのものはアフリカの意識が強いというよりはのんびりした古典的なジャズという印象です。個人的にBooker Ervinの演奏が苦手なのですが、このアルバムに関しては非常に良いと思いました。中域の層が厚いようなどこか「臭う」サックスだからこそ活きるところがあるのでしょうか。間違いなく「大味」な演奏をする集団ではありますが、リズムの懐が深いのか、全体としてバランス良く仕上がっているように感じます。

 ちなみにアフリカにはプロのミュージシャンがいないというのを何かで見た記憶があるのですが、Randy westonは向こうではどうやって生活していたのだろうか。ではまた。

3/16

 Art Farmerの"Art"といえば定評のある作品だと言ってよいと思いますが、このアルバムの何が良いかというと、ドラムのAlbert Heathが良い!と思います。Art Farmer、Tommy Flanagan、Tommy Williamsの演奏はどうでも良いというわけではないのですが、基本的に個性の強いドラマーと評価されないAlbert Heathにあって比較的押しの強い演奏をしている点で注目すべきだと思います。とはいえ、これを聴いて「あ、これはAlbert heathだ!」とわかる人は偉い。Albert Heathに興味のある方は、Bobby Timmonsの"In Person"などから聴いてみてはどうかと思います。

 ところで、ついついRandy WestonのDVD "Live in St. Lucia"を買ってしまいました。いつものアフリカントリオ+αでの演奏と思っていただいたら良いかと思います。その前にアフリカントリオがわからないという方はぜひとも"Zep Tepi"を聴いていただきたい。

 なんとなくRandy Westonが推されているような文面になっておりますが、個人的な趣向がかなり強いので、あまり気にしないでください。ではまた。

2/11

 Randy Westonはその強力なリズムと明瞭なコンセプトが大変気に入っているピアニストですが、正直なところ、初期の作品は振るいません。お勧めするとしたらやはりアフリカン・トリオあたりのものになるでしょうか。"Marrakech"が一番良いと思うのですが、ソロアルバムなので少し退屈かもしれません。近日中にまた数枚仕入れる予定ですので、感想については後日また。

 それにしても"Criss-Cross"は良い!こんな素晴らしいアルバムを買わずにいたとは大変もったいなかった、と思うくらいカッコいいです。これからは特に、聴いたことのあるものも聴きなおすためになるだけ買うなりなんなりするようにしよう。そしてThelonious Monkといえば、Charlie Rouse。あのカッコ悪さがなんとも言えない。やっていることは実に真っ当なことなはずなのに、おそらく耳に付くあのフレーズのせいで大変気が抜けて聴こえる。そこが一番の魅力だと言い切ってしまうと寂しいが。

 ジャズに感動を見つけるためにはこれまでの何倍もの努力が必要になったように感じます。ではまた。

2/7

 いまさらですが、Thelonious Monkの"Criss-Cross"はものすごくいい!いまだにMiles Davis、John Coltrane、Thelonious Monkといった「ほとんどのジャズ聴きが当然聴くべきと思っているジャズ」をきちんと聴いたと言える自身がなく、折を見て少しずつ埋めていっている状態です。

 ChristをわざわざCrissと書いたのはCrossと引っ掛けるためなんでしょうが、crisscrossには○×ゲームという意味もあるそうで、一体どういう意図でこの曲名にしたのかは謎。情報があればお願いします。

 Kirk Lightseyの"The nights of Bradley's"というアルバムが届き、昨夜吟味していたのですが、思ったよりも良くなかった。残念です。音楽として少し雑な感じがするというか、展開が明瞭でない部分が気になりました。デュオのライブアルバムで、音のバランスのせいでそう感じやすいだけなのかもしれません。サイドメンのほうが良いプレイヤーかもしれない。今度はそちらを攻めてみます。

 少し前に買ったSangoma Everettの"The Courage to Listen to Your Heart"というアルバムはなんというかとてももったいない作品でした。Chico Freeman、Mal Waldron、Cecil McBeeというメンバーを集めておきながら、やっているのは少しポップな音楽だったりラテンだったり。ではまた。

1/24

 Walter Bishopは教則ビデオも出しており、その内容がちょうど"Just in Time"とかそこいらの選曲に近い。そういうわけで勉強させていただいています。Walter Bishopと言えば断然"Sopliloquy"を推すのですが、華のあるミュージシャンでは全然ないのであまり受けは良くなさそう。残念です。"Speak Low Again"なんていう企画ものもありますが、ジャズ好きからすると評判悪いんでしょうか。

 最近知ったKirk Lightseyというピアニストが良さそうです。スタイルはありふれたコンテンポラリージャズといった感じがしましたが、なんだか趣味が良いというか、好印象です。スッキリしてました。とりあえず一枚買ってみようと思います。Danilo Perezもちゃんと聴いてみたい。名前を知るとぜひとも一度ちゃんと・・と思うのですが、そこは財布と相談です。ではまた。

1/3

 いまさらという感じですが、Dizzy Reeceのアルバム"Asia Minor"はHank Jones、Joe Farrell、Ron Carter、Charlie Parsipという豪華な顔ぶれに熱い演奏と影の名盤に数えられるべき一枚ですね!正直、パッとしない印象があったもので敬遠しがちでしたが、見直す必要がありそうです。Hank Jonesのオーソドックスながら変則的な響きを含んだ和音(いつもより意識的にトリッキーな演奏をしているように思われます)、Ron Carterの攻撃的なライン、Charlie Parsipの3点セットを基調にしたアプローチが全体としてとてもバランスよく聞こえます。フロントに左右されにくい形なのかもしれません。そういう意味ではフロントセクションが活きていると言えるのか・・。

 今年もよろしくお願いいたします。ではまた。